Research Abstract |
1.焼却残渣性状に及ぼす廃棄物の収集形態と燃焼システムの影響 収集形態や産業構造が異なる2都市の清掃工場を調査対象として,廃乗物とその燃焼特性や焼却残渣の性状との関係を検討した。ごみ及び焼却残渣(焼却灰,ボイラ灰,エコノマイザ灰,減温塔(反応塔)灰,バグフィルター灰)中の各成分(Cd, Pb, Se, T-Cr, As, T-Hg, CN, Fe, Al, Cu, Zn, DXNなど)の含有量,溶出量および各灰の発生量を測定した。 その結果,焼却された廃棄物中の灰分に対して92.6w-%の焼却灰と7.4w-%の飛灰が発生していた。飛灰の内訳は,ボイラー灰2.4w-%,エコ灰0.2w-%,減温塔灰0.6w-%,BF灰4.2w-%であり,飛灰発生量に占めるボイラー灰の割合が多かった。T-Cr, Fe, Al, Cu, Ni, Mn, Si, Mg, Bは90%以上が焼却灰に移行していた。Cd, Pb, Zn, Fは60〜70%焼却灰に移行し,バク灰への移行部分は30〜40%であった。焼却灰中のDXNは23〜51pg-TEQ/gと,土壌環境基準(=1ng-TEQ/g)を下回っていた。また,エコ灰,減温塔(反応塔)灰には150〜600pg-TEQ/gが検出され,焼却灰に比べ高い濃度のDXNが認められた。 2.焼却灰の有効利用に伴う環境負荷低減化技術の開発 焼却残渣を湿潤・乾燥工程や高温・高圧下に置いた際の鉛の不溶化現象を検討した。その結果湿潤・乾操工程の繰り返しによって鉛の溶出濃度は減少し,しかも室内に放置しておいた焼却残渣よりも速く不溶化した。この不溶化は,水分がない状態では進行しなかった。また,湿潤・乾燥工程によって不溶化した焼却残渣のpH依存性試験結果から,アルカリ性領域では不溶化が進行していたのに対し,酸性領域では再溶出しやすくなる特異な傾向を示した。高温・高圧下(120℃,233kPa)における鉛の不溶化は,湿潤・乾燥工程よりもその程度は顕著であった。
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