2003 Fiscal Year Annual Research Report
膜ゼータ電位の新測定法開発と同電位を考慮した溶質透過機構の解明・モデル化
Project/Area Number |
14350291
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 講師 (50340617)
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
寺島 泰 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (50019717)
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Keywords | 低圧逆浸透膜 / 膜ゼータ電位 / 流動電位法 / 内分泌撹乱物質 / 17β-エストラジオール / ビスフェノールA / 膜透過機構 / フミン酸 |
Research Abstract |
前年度においては、膜のゼータ電位測定について、測定原理に基づく安価な流動電位式膜ゼータ電位測定装置の開発を行い、さらにそれを模した自動式膜ゼータ電位測定装置による各種膜のゼータ電位測定を行い、ともにほとんど差がない測定結果を得た。また、低圧逆浸透膜による無機イオン及び分子量の低い有機溶質の分離において、膜による溶質阻止率が溶質のイオン性と膜ゼータ電位に依存することを明らかにした。今年度は、17β-エストラジオールやビスフェノールAなどの内分泌撹乱物質にも対象を広げ、とくに溶質阻止率が比較的低い低圧逆浸透膜では膜のゼータ電位と溶質の解離状態により阻止率が変化することを見出した。また多価カチオンは負に帯電した膜の電位を低下させることを明らかにした。このような研究成果を国内学会や国際会議に発表したことにより、溶質分離に及ぼす膜の電位の影響が国内外で認識されるようになり、それを基礎とする溶質の膜透過機構に関する定量的な議論がなされるようになってきている。また、内分泌撹乱物質の膜透過に関連し、水中に共存するフミン酸やフルボ酸の影響についても検討を進め、とくに17β-エストラジオールについてはフミン酸の共存により阻止率が大幅に上昇することを見出した。一方、フルボ酸については阻止率を若干高める効果があったが、フミン酸ほどではなかった。また、ビスフェノールAについてはともにあまり大きな影響がなかった。このような溶質とフミン酸あるいはフルボ酸との競合、親和性については、膜ゼータ電位の関与をも含めて現在さらに検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroaki Ozaki ら: "Development of Membrane Technology Rejection of Micropollutants"Proc.of The 3rd International Conference on Advance in Strategic Technologies. 87-99 (2003)
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[Publications] 尾崎 博明 ら: "低圧逆浸透膜法による内分泌撹乱物質の分離における共存物質の影響"第58回土木学会年次学術講演会 概要集. VII-087 (2003)
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[Publications] 尾崎 博明 ら: "低圧逆浸透膜法による内分泌撹乱物質の分離における有機共存物質の影響"日本水環境学会年会講演集. 62 (2004)