2002 Fiscal Year Annual Research Report
性能設計体系における微動アレー解析地盤調査手法の実用化研究
Project/Area Number |
14350294
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 一嘉 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50012935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
境 有紀 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (10235129)
笹谷 努 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10002148)
壁谷澤 寿海 東京大学, 地震研究所, 教授 (00134479)
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Keywords | 表層地盤 / S波速度構造 / 微動アレー観測 / 表面波 / 逆解析 / 地震記録による同定 / 性能設計体系 |
Research Abstract |
新しい建築基準法による地盤の振動性状把握のための工学基盤は、S波速度(Vs)が400m/s程度と規程されている。本年度の研究において、微動のアレー解析から工学的基盤までのS波速度構造の決定精度、探査深度などが適合するかを検討した.その他の手法で地盤定数が求められている地区でアレー微動観測を実施し、精度・能力・実用性などを以下の二つの手法による結果と比較した. 第一は、既存データであるPS検層結果との比較から、手法の妥当性及び有効性を検討した.微動を用いた空間自己相関法による浅部地下構造推定は、深さ方向に対しS波速度が漸増することを仮定しているため、詳細な層境界を特定する精度を有しているとは言い難い.しかし、地震動の地盤における1次卓越周期およびその増幅特性を把握する上で、アレー微動による構造推定は、PS検層と同程度の能力を有することが分かった. 第二は地震記録による増幅特性との比較から、空間自己相関法により推定された地下構造の精度と適用性を検討した.改正建築基準法における表層地盤増幅特性を評価する上で、卓越周期と増幅度をともに満足する必要がある.アレー微動観測を用いた空間自己相関法は、表面波の分散性を評価できる等価構造を与えるため、必ずしも真の地下構造を与えるとは限らない.しかし、地表と地中記録を用いた同定(地下構造の逆解析)では、初期値として用いた微動による速度構造に大きな変化がない最適値が求まった.すなわち、建築物の耐震安全性に関わる周期帯の地盤増幅特性を評価する上では、実用可能な精度を有しており、微動の観測が表層地盤増幅特性を安定して評価できることが分かった.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kazuyoshi Kudo, 他10名: "Site Specific Issues for Strong Ground Motions during the Kocaeli, Turkey Earthquake of August 17, 1999, as Inferred from Array Observations of Microtremors and Aftershocks"Bull. Seism. Soc. Am.. 92・No.1. 448-465 (2002)
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[Publications] 境有紀, 津野靖士, 工藤一嘉, 壁谷澤寿海: "改正建築基準法の解放工学的基盤波を想定した表層地盤増幅特性の簡便評価法"日本建築学会構造系論文集. 565. 73-78 (2003)
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[Publications] Kazuyoshi Kudo, 他13名: "S-WAVE VELOCITY STRUCTURE AT EURO-SEISTEST, VOLVI, GREECE DETERMINED BY THE SPATIAL AUTO-CORRELATION METHOD APPLIED FOR ARRAY RECORDS OF MICROTREMORS"日本地震工学シンポジウム論文集. No62(CD-ROM). 311-316 (2002)
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[Publications] 津野靖士, 工藤一嘉, 神野達夫, 木下繁夫: "空間自己相関法を適用した微動によるS波速度構造とその精度"日本地震工学シンポジウム論文集. No68(CD-ROM). 345-350 (2002)
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[Publications] 笹谷努, 森川信之, 前田宣浩: "1993年釧路沖地震による強震動記録:震源および伝播経路特性の評価"日本地震工学シンポジウム論文集. No112(CD-ROM). 583-588 (2002)