2003 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な波形予測手法に基づく海溝性巨大地震の強震動と建築構造物の被害予測
Project/Area Number |
14350304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川瀬 博 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30311856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊明 大崎総合研究所, 地震防災グループ, 主席研究員
福和 伸夫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20238520)
中井 正一 千葉大学, 工学部, 教授 (90292664)
清家 規 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (90243914)
岩田 知孝 京都大学, 防災研究所, 助手 (80211762)
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Keywords | 強震動予測 / 海溝性地震 / サイト増幅 / 地震応答解析 / アスペリティ / 被害予測 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、海溝性の巨大地震による地震波形を定量的に予測し、さらに地域の構造物特性を反映させた被害予測モデルを用いて地震被害シナリオの構築方法を開発・検証することを目的としている。その目的のため本年度は、以下のような検討を行なった。震源については、経験的グリーン関数法を用いた強震動シミュレーションによる2002年11月宮城沖地震(MJ6.2,震源深さ約45km)の震源モデルの推定を行った。推定された強震動生成領域のサイズは、地殻内地震における経験式から推定されるサイズより小さく、深さ依存性もしくはプレート境界の地域性と推察された(岩田)。また、2003年三陸南地震の記録を分析した結果、震源での短周期の励起が大きく内陸地震の経験式の6倍あったこと、震源に近い岩盤観測点では5Hz以上の地盤増幅が大きかったこと、高周波数領域での減衰がf^<-1>に比例し高周波数が減衰しにくかったことが観測大加速度の生成に寄与したことがわかった(佐藤)。微地形の影響を検討するため、常時微動計測、地震観測、数値解析を行った。その結果、成層地盤仮定に基づく検討手法はおおむね妥当であるものの、表層の地形・地盤構造が複雑に変化しているような地域においては精度が不足しており、多次元モデルによる検討が必須であることが確認された(中井)。建築物の崩壊挙動の推定のため、複数の建築物を対象に強震観測を実施し、中小地震動時の建築物の振動挙動を実証的に明らかにした。その結果、建築物の振動挙動は、雑壁などの非構造材や動的相互作用が多大な影響を与えていることが明らかになった。そこで、一つの建物を対象に、塑性履歴性状まで考慮した詳細なモデル化を行い、実証データを模擬できるモデルを構築した(福和)。一方、九州大学の建物を対象に微動観測結果と設計図書に基づいて中低層RC建物の非線形応答解析モデルを構築し、その応答結果を兵庫県南部地震の被害率を再現するように造られた長戸・川瀬モデルと比較してほぼ同程度の耐力であることを確認し、被害予測用建物モデルの構築手法を提案した(川瀬・清家)。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] W.Suzuki, T.Iwata: "Source Model of the 2002 Miyagi-Oki Interplate Earthquake (Mw=6.4) Obtained by Strong Ground Motion Simulation Using Empirical Green's Function Method"EOS, AGU, Fall meeting. S52A-0115 (2003)
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[Publications] 佐藤智美: "2003年宮城県沖の地震と宮城県北部地震の短周期レベルとfmax"日本地震学会講演予稿集. A073 (2003)
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[Publications] 佐藤智美: "スペクトルインバージョンに基づく震源スペクトル・伝播特性の断層タイプによる違いと地域性"日本地震工学会大会2003梗概集. 66-67 (2003)
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[Publications] 佐藤智美: "宮城県沖のスラブ内地震とプレート境界地震の短周期レベルの推定"日本地震工学会論文集. 4巻,第1号. 1-4 (2004)
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[Publications] 中田信治, 福和伸夫, 西畑尚: "実大振動実験と強震観測に基づく低層鉄骨住宅の振幅依存性に関する研究"日本建築学会構造系論文集. 第574号. 85-92 (2003)
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[Publications] 宮腰淳一, 佐藤俊明, 福和伸夫: "住家被害を利用した1891年濃尾地震の地震動強さ分布の分析"地域安全学会論文集. 77-86 (2003)
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[Publications] 花井勉, 福和伸夫, 森保宏, 皆川隆之: "免震層変位を制限した戸建て免震住宅の耐震等級対応法とライフサイクルコスト評価"日本建築学会構造系論文集. 第572号. 86-96 (2003)
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[Publications] 福和伸夫, 原徹夫, 小出栄治, 生田領野: "携帯手回し振動台「ぶるる」の開発"日本建築学会技術報告集. 第17号. 83-86 (2003)
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[Publications] 小島宏章, 福和伸夫, 飛田潤, 中野優: "建物強震観測DB公開用webシステムの構築"日本建築学会技術報告集. 第17号. 553-558 (2003)
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[Publications] 包那仁満都拉, 川瀬博: "微動計測に基づく中低層RC造建物の振動特性とその耐震安全性評価"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2 構造II. 945-946 (2003)
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[Publications] 包那仁満都拉, 川瀬博: "常時微動計測に基づく中低層RC造建物の振動特性とその耐震性評価"日本建築学会構造系論文集. 第577号. 29-36 (2004)
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[Publications] 包那仁満都拉, バタフー, 道脇直見, 多賀直恒, 川瀬博: "常時微動計測による福岡大学RC造建物の振動特性及びその耐震安全性評価"日本建築学会九州支部研究発表会梗概集. 第43号・1構造系. 261-264 (2004)