2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350329
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
澤岡 清秀 工学院大学, 工学部, 教授 (40245642)
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Keywords | 改修 / 再利用 / コンバージョン / 保存 / アダプティブ・ユース / 都市再生 |
Research Abstract |
平成14年度に行ったニューヨーク市、チューリッヒ市での事例調査で得た資料の整理と分析を行った。事例調査で行ったインタビューは、設計担当者、行政担当者を含めて合わせてニューヨーク市で21人、チューリッヒ市で9人であったが、それらの記録のテープ起こしを行い、「オーラル・ヒストリー」を作成して本研究の重要な基礎資料とした。また各都市で収集した図面、地図、写真などの資料をデジタル化して整理し、いくつかの事例については図面を描き直して理解を深めた。 ニューヨーク市の建築事例は、同市の保存条例(ランドマーク保存条例)が内部と外部を別々に取り扱う「内外分離の原則」に従っているため、外部は保存するが内部は自由に改変する方法に依っていることがわかった。その結果、内部と外部のデザインに著しい対比が生じていて、それが既存建築物の価値を経済的にも社会的にも新しく読み直すきっかけになっていることがわかった。またニューヨークのソーホー地区は建築単体のみならず地区全体にこの現象が及んでいて、過去40年間にわたって地区全体の社会的なアップグレードを促進しているが、その背景に、同市の都市計画上のゾーニング変更とニューヨーク州集合住宅条例の改正が関係していることがわかった。 チューリッヒ市の建築事例は、ニューヨークのような明確な「内外分離の原則」には依っていないものの、内外の部位を特定して保存する方針によっているため、結果的には内外に新旧の著しい対比を生んでいて、それが既存建築物の価値を高めていることがわかった。 既存建築を生かしながら創造的に再利用する行為は、単に歴史的建築の修復行為、あるいは供給過剰の在庫整理をするといった受け身の行為ではなく、今後21世紀の新しい創造の一領域として積極的に促進されるべきものであると考えられる。
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Research Products
(4 results)