2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 恵介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50156816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 紀子 独立行政法人奈良文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 研究員 (80359447)
金行 信輔 広島大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90335703)
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Keywords | 移築 / 茶人 / 重要文化財 / 緊急避難 / 城郭 / 醍醐寺三宝院 / 土台 / 土居 |
Research Abstract |
本年は研究の2年目であり、以下のような調査、研究を実施した。 (1)移築事例の収集と類型的な把握 昨年度に収集した移築事例に加え、本年度も移築事例を多数収集した。 そのなかを類型定な把握を試みた。 重要文化財では、近代に例が多いがそれは民家の緊急避難的な保存を 目的としたものである。また、近代の茶人による移築も少なくない。特に三渓園は移築例が多く、その代表とみなすことが出来る。江戸時代初期のものでは、豊臣秀吉の聚楽第、伏見城からの移築が多く、これは、当時の城郭が政治的事情によって、解体されたからである。また、一般に城郭の移築例は多い。 (2)移築事例の解明 収集した多くの移築事例において、それぞれの移築事情を詳細に検討した。 秀吉の醍醐寺再建では、多くの建築が移築によって集められた。三宝院では、元々興福寺にあった観能施設が、清滝宮に移され、それがさらに、三宝院の建築群へ、改造・移築された。これは、政治的な事情で、移築が行われた、重要な一例であると思われる。幕末の江戸では、多くの藩邸において、建物を解体し国元に避難させる例があった。時代変革期に移築が多いものの、重要な一例と認められる。 (3)移築の技術的な課題の解明 多くの移築事例において、それぞれの技術的な問題を解明して、分類した。 足元に土台(土居)を持つのは、古代・中世では異例であるが、それは、解体移動、再組み上げを前提としたものであるようで、「方丈記」の方丈なども、その好例と見なすことが出来る。
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