2003 Fiscal Year Annual Research Report
非晶質合金中の集団運動励起による固体内励起場の実現とその応用
Project/Area Number |
14350338
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 教授 (40114136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 久典 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (70222122)
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Keywords | 非晶質合金 / 密度揺らぎ / 集団運動 / 通電効果 / 固体内励起場 / 階層性 / 結晶化 / 熱力学 |
Research Abstract |
放電法を用いてパルス通電による非晶質合金の結晶化現象をa-Cu_<50>Ti_<50>、a-Pd_<80>Si_<20>、a-Zr_<60>Cu_<30>Al_<10>について更に実験を進め以下の結果を得た。パルス通電により結晶化が始まる初期電流密度i_<d0,c>を放電時定数τの関数としてτ=0.1〜20msの範囲にわたり調べると、i_<d0,c>は10^8-10^<10>A/m^2の範囲で変化し、τ〜1msおよびτ〜10msの2カ所で極小を示すことが分かった。また、このi_<d0,c>とτの関数関係の詳細は合金種により異なるが、同一合金種では、室温での実験と液体窒素中での実験の間で良い一致を示すことが分かった。このことは、固体内励起場実現の元である、密度揺らぎは主として、ガラス転移温度で凍結されたものであることを示唆している。電子顕微鏡観察からは、生成する結晶の大きさはnm領域にあり、これらのナノ結晶の結晶方位が揃っていることが分かった。すなわち、一回の集団運動の励起によりnmサイズの結晶が生成していることを意味しており、単に全原子が同一の運動をする場合に期待できる現象ではない。この特異な現象を説明するためには、原子種により運動モードが異なると考えざるを得ない。関連研究として、水素をプローブとした研究を進め、非晶質合金中では組成揺らぎあるいは密度揺らぎはあたかもヒョウ紋の様になっていると考えないと実験結果を説明できないことが分かった。この結果は、パルス通電結晶化実験が示唆することと合致する。また、ナノ結晶、ナノ薄膜の研究からは、これらの結晶粒界層は低温度域から大きな擬弾性歪みを発現しており、これは、非晶質合金中での密度揺らぎの中で相対的に密度が低い部分の挙動に近いと推定している。詳細機構の解明は次年度の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Mizubayashi, Y.Ishikawa, H.Tanimoto: "Feasibility Study of Hydrogenated Amorphous Alloys as High-Damping Materials"Materials Science and Engineering A. (in press). (2004)
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[Publications] H.Mizubayashi, T.Usui, H.Tanimoto: "Anomalous Elastic Response of Amorphous Alloys Suggesting Collective Motions of Many Atoms"Materials Science and Engineering A. (in press). (2004)
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[Publications] Y.Kabe, H.Tanimoto, H.Mizubayashi: "Elasticity study of nanostructured Al and Al-Si(Cu) films"Materials Transaction. 45. 119-124 (2004)
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[Publications] H.Mizubayashi, Y.Ishikawa, H.Tanimoto: "Characteristic Creep Behavior of Nanocrystalline Metals Found for High Density Gold"J.Alloys and Compounds. 355. 31-36 (2003)
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[Publications] H.Tanimoto, S.Sakai, H.Mizubayashi: "Anelasticity Study on Motions of Atoms in the Grain Boundary Regions in Nanoerystalline Gold"Materials Transaction. 44. 53-58 (2003)
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[Publications] H.Tanimoto, S.Sakai, E.Kita, H.Mizubayashi: "Characterization and Determination of Elastic Property of High-Density Nanocrystalline Gold Prepared by Gas-Deposition Method"Materials Transaction. 44. 94-103 (2003)