2004 Fiscal Year Annual Research Report
非晶質合金中の集団運動励起による固体内励起場の実現とその応用
Project/Area Number |
14350338
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水林 博 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40114136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 久典 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70222122)
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Keywords | 金属ガラス / 非晶質合金 / 固体内励起場 / 密度揺らぎ / 集団運動 / 非熱的結晶化 / 動的弾性率 / パルス通電 |
Research Abstract |
熱的安定性が高いバルク金属ガラス(BMG)とマージナル非晶質合金(MAA)について、パルス通電結晶化及び動的弾性率の測定周波数依存性を調べた。時定数τのコンデンサー放電によるパルス通電で励起される集団運動による結晶化では生成微結晶の結晶方位が微結晶間で揃っている。本パルス通電では共振振動数1/2πτの共鳴的集団運動が励起されるはずで、この固体内励起は、原子のランダムな運動を励起する実効温度の上昇とは異なり、関係する多数の原子が整然と運動する励起であることを意味する。さらに興味深いことは、関係する原子が全て同じ運動をする場合には単純な並進運動になり、結晶化に至ることはない。例えば、格子振動での光学モードのように原子種で励起モードが異ならないと観測結果の結晶化は期待できない。一方、結晶では光学モードは10^<12>Hzのような高い振動数で観測されており、本実験での1/2πτ≒200Hzとはかけ離れている。これは、ランダム系における密度揺らぎはその全体が集団運動する低い振動数において、その内部では、光学モードが存在することを意味しており、画期的な発見といえる。動的弾性率の測定周波数依存性では、集団運動励起による動的弾性率の低下が観測され、その周波数はパルス通電結晶化閾電流密度が極小を示す周波数に近いことから、上記の描像は正鵠を得ているといえる。これらの現象はBMGとMAAで共通している。また、さらに奇妙な現象が発見された。BMGでは生成結晶相はパルス通電時の電流密度と時定数の関数であり、結晶化による電気抵抗は結晶相に依存して低下あるいは上昇を示す。一方、a-CuZrでは、パルス通電結晶化により電気抵抗は約半減した後上昇に転じ、作成直後の状態より高くなる。この間、生成結晶相は同じであり結晶化は進展している。固体内励起の新たな側面を反映している可能性が高く、さらに追求する必要がある。
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Research Products
(6 results)