2002 Fiscal Year Annual Research Report
サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
Project/Area Number |
14350339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 良一 東京大学, 国際産学共同研究センター, 教授 (10107550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神子 公男 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80334366)
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Keywords | Surfactant epitaxy / metallic multilayer / Giant magnetoresitance |
Research Abstract |
サーファクタントエピタキシー法を、巨大磁気抵抗効果を示す金属多層膜に応用し、良質のヘテロ界面を有する金属多層膜を作製した。具体的には、界面構造の急峻性が重要な因子の一つである巨大磁気抵抗効果を示すFe/Cr多層膜に、サーファクタントエピタキシー法を応用した。 Bi, Pb, Agをサーファクタントとして適用し、Fe/Fe(100)ホモエピタキシャル成長に及ぼす影響についてRHEED、AFM、AESを用いて比較を行ったところ、サーファクタント原子としてBiが最も効果的であることが判明し、表面ラフネスが1Å以下という極めて平坦な薄膜表面が得られた。また、Fe(100)表面上にそれぞれのサーファクタント原子の蒸着量を0.2Å〜2.4Å(1ML)の範囲で変化させて蒸着し、同様の実験により比較を行ったところ、サーファクタント原子の蒸着量には最適値が存在することが分かった。RHEEDパターン及び強度振動の解析により、サーファクタントエピタキシー法のメカニズムとしてはサーファクタント原子が表面テラス上でFe原子の拡散を抑制することによってステップエッジにおける層間移動を促進することによると結論づけられた。また、最適値が存在する理由としてはFe原子の拡散を抑制しつつステップエッジまでは到達させる必要があるためと考えられる。次に行ったFe/Crヘテロエピタキシャル成長においても、同様にBiが最も界面修飾効果が大きいことが確認され、Biが多層膜界面構造を急峻に制御することが予想された。 また、MBE装置に真空排気システムEPIT-300((株)エイコー)を増設した。これによりさらなる真空度の向上が達成され、サーファクタント原子を用いた良質なヘテロ界面構造の実現にとって好ましくない不純物ガスの影響を軽減することができた。また、サーファクタント自体が及ぼす影響をより明確にする事が可能となり、今後の実験成果に大きく寄与することが期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Kamiko, K.-Y.Kim, S.-M Oh, B.Li, J.Xu, I.Kojima, R.Yamamoto: "Pb as a surfactant in the growth of giant magnetoresistance Fe/Cr(100) multilayers"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 240・1-3. 508-510 (2002)
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[Publications] M.Kamiko, H.Chihaya, H.Mizuno, R.Yamamoto: "Magnetic Anisotropy on Al_2O_3(0001) with Co Seed Layer"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 27・4. 679-698 (2002)