2004 Fiscal Year Annual Research Report
サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
Project/Area Number |
14350339
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 良一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10107550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神子 公男 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80334366)
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Keywords | Surfactant Epitaxy / Thin Films / Metallic multilayer / Crystal Growth / Seeded Epitaxy / Giant Magnetoresistance / Sputter Deposition |
Research Abstract |
サーファクタントエピタキシー法及びシーディッドエピタキシー法を、垂直磁気異方性・巨大磁気抵抗効果を示す金属薄膜・多層膜に応用し、平坦な磁性薄膜・多層膜及び配向性の制御された金属多層膜を作製した。また、サーファクタントエピタキシー法の基板方位おける効果の違いについて研究し、その機構について解明した。具体的には、(1)スパッタ法を用いて作製したFe/Cr多層膜、及び(2)MBE法を用いたCu表面上のCoヘテロエピタキシャル成長に対するサーファクタントエピタキシー法の応用について研究を行った。 (1)昨年度に引き続きBiをサーファクタントとして用い、工業的に必要不可欠な手法であるスパッタ法で作製したFe/Cr多層膜に適用した。XRD低角域測定及び深さ方向XPS測定の結果より、Biを約1原子層(3Å)蒸着させたFe/Cr(100)多層膜の界面急峻性を向上させることができ、その結果としてMR比の向上が確認された。また、Biがスパッタ膜成長に効果的に表面偏析していることも確認された。その反面、Biにより、Fe/Cr多層膜が(110)配向し易い傾向が見られ、新たな問題点も発見された。 (2)垂直磁気異方性や巨大磁気抵抗(GMR)効果を示す、Cu/Co多層膜作製時にサーファクタントをヘテロ界面制御の手段として応用させるため、Biを用いてCu(111)、Cu(100)、Cu(110)面上のCo薄膜の成長制御を行った。その結果、基板温度が常温付近では、Cu(111)表面上のCoの成長に関してBiはサーファクタントとして効果的に働くが、Cu(100)表面上のCoの成長に関しては三次元成長を引き起こし、サーファクタントとして効果的に働かないことが判明した。これは、Cu(111)面とCu(100)面では表面の拡散障壁とステップでの拡散障壁の差が違うためであると考察した。一方、Cu(110)面では、(111)、(100)表面と異なり、Co成長時のCuの表面偏析によって、Biを用いない場合は島状成長をするが、Biを用いるとCuの表面偏析が抑制され、Coが二次元成長することがRHEEDとAES測定によって確認された。このように同じ金属でも、結晶方位によってサーファクタント効果が異なることが本研究によって確認された。
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Research Products
(5 results)