2004 Fiscal Year Annual Research Report
複合電子分光顕微鏡による金属酸化物中のサブナノメートル欠陥の性質と構造
Project/Area Number |
14350340
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 俊介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20209985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 哲朗 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029331)
吉田 朋子 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90283415)
巽 一厳 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00372532)
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Keywords | 電子エネルギー損失分光 / 透過型電子顕微鏡 / 酸素複合欠陥 / 最大エントロピー法 / 表面ブリスター / 価数揺動 / 電子エネルギー損失広域微細構造 / エネルギー損失吸収端近傍構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、透過型電子顕微鏡(TEM)に付随する各種の分光法を組み合わせて、これまで解析の困難であった原子百個程度の微小欠陥の構造解析をする手法を開発することにある。最終年度である本年度はこれまで開発した複合電子分光顕微鏡とその関連技法を用いた以下のような応用研究を行った。(1)電子エネルギー損失広域微細構造(EXELFS)とエネルギー損失吸収端近傍構造(ELNES)を組み合わせて、炭化珪素およびゲルマニウムシリコン合金中の不純物酸素複合欠陥の構造解析に成功した。(2)最大エントロピー法を応用して時間分解EXELFS測定を行い、S/N比の小さいスペクトルから特定の原子周囲の原子配列を抽出する試みに成功した。(3)低角度入射電子顕微鏡法(GIEM)および断面TEMを用いて炭化珪素およびシリコンなどの塑性材料の表面に形成されるガスイオン照射誘起ブリスターの構造解析を行った。(4)固体中で特定のブロッホ波を優先的に励起する電子チャネリング条件下でELNES測定を行い、原子サイト選択的な電子状態分析を試みた。この手法を自動車排気ガス浄化助触媒として使用されているセリア-ジルコニア固溶体の中間相におけるセリウムイオンの電子状態分析を行った結果、セリウムイオンの新しい混合価数状態を見出した。また同じ材料の酸素のELNES分析を行い、この材料の優れた酸素吸放出特性を発現している鍵ともいうべき物性の起源を明らかにした。残念ながら当初の目的の一つである波長分散型のTEM用X線分析装置はシグナル強度が弱く実用までには至らなかった。今後シグナル強度を稼ぐために新たな分光器設計を行う必要がある。
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Research Products
(6 results)