2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子励起過程を利用した非晶質ポーラスシリカの構造及び光機能制御
Project/Area Number |
14350352
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内野 隆司 神戸大学, 理学部, 助教授 (50273511)
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Keywords | シリカガラス / 発光 / 微粒子 / 固相焼結 |
Research Abstract |
本年度の研究により,ナノメートルサイズのシリカガラス微粒子を溶融することなく,固相反応のみで焼結することによって得た透明シリカガラスが可視領域の幅広い波長域で紫外励起により発光することを見出した。さらに,この透明シリカガラスからの発光スペクトルの時間減衰過程を測定したところ,単純な指数関数型減衰ではなく,光励起キャリアーの分散的拡散を示唆する伸張型指数関数で減衰することが明らかとなった。さらに,その発光過程のより詳細な知見を得るため,発光減衰の温度依存性を液体窒素温度から500Kの間で測定した。その結果,発光強度は温度の上昇と共に減衰することがわかった。また,発光減衰の分散度を表すパラメーターβは温度の上昇と共に単調に増加する一方,寿命τは200Kを境に温度の上昇と共に減少した。これら,発光強度の温度依存性,ならびに発光寿命の温度依存性から非輻射過程への活性化エネルギーをそれぞれ独立に求めたところ,二つの値は非常によい一致を示すことがわかった。このような発光挙動は,これまでアモルファス物質のバンド間遷移に伴う光励起キャリアー(電子,正孔)の拡散,再結合による発光過程で観測されている現象である。したがって,本発光過程も紫外線励起により生成した電子の分散的拡散,およびそれに伴う,電子正孔対の再結合による発光と考えられる。本試料は,焼結温度が1000℃程度と比較的低いので,微粒子の焼結過程で表面欠陥が完全に緩和していないと考えられる。このような,準安定な結合状態に起因する発光が,本試料からの可視発光の原因と推察される。
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Research Products
(2 results)