高分子・ゴム材料の構造非線形性:非線形プローブ・微分動的弾性率による評価と予測

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14350359
• Research Institution: Nagaoka University of Technology
• Principal Investigator: 五十野 善信 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30135321)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 河原 成元 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00242248) ; 高橋 勉 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20216732)
• Keywords: 高分子材料 / ゴム材料 / 構造非線形性 / 非線形プローブ / 動的弾性率 / 網目構造 / フィラー

Research Abstract

改良した動的粘弾性測定装置を用い、次のような点を明らかにした。
1)高分子濃厚系の絡み合い構造変化の非可逆性
高分子は長い鎖状分子であるため、それらが密に入り組んだ高分子濃厚系ではトポロジー的相互作用に基づく絡み合い網目が形成される。高分子材料の比強度が高いのは絡み合い網目の存在による。改良レオメーターを用い、高分子絡み合い系ならびに疎架橋絡み合い系の微分動的弾性率を精密測定し、高分子濃厚系に特有の複雑な非線形粘弾性が大変形下における絡み合い網目構造変化の非可逆性にあることを実験的に明らかにした。
2)シリカ配合ゴム材料の構造非線形性
シリカ配合タイヤは従来のカーボンブラック配合タイヤに比べ、特に濡れた路面での制動性能に優れていることが知られているが、変形回復後の損失正接を用いた実験室評価では実車走行試験の結果を再現できないという問題があった。これは従来の測定が実車走行条件をシミュレートしていないことによるとの洞察の下に、改良レオメーターにより複合変形下の損失正接を測定することにより、実験室評価が可能であることを実証した。
3)天然ゴム基グラフト共重合体によるナノマトリックス構造構築と高力学強度発現
天然ゴムラテックスに僅か15%の高ガラス転移温度高分子をグラフト共重合させるだけで、グラフト相が連続相となるナノマトリックス構造を形成させることができ、そのハニカム構造に由来する極めて高い非線形力学強度を発現できることを見出した。
最終年度には、複合大変形を与えることができる実験装置ならびに非線形応答解析手法を確立するとともに、高分子・ゴム材料の実際の成形加工条件ならびに実使用条件における非線形解析を進め、有機無機ハイブリッド材料の構造非線形性の評価・予測手法を開発する。

Research Products

• [Publications] Isono Yoshinobu, Kawahara Seiichi et al.: "Nonlinear Viscoelastic Properties and Change in Entanglement Structure of Linear Polymers. 2. Double-Step Large Shearing Deformations at Moderately Long Time-scale"J.Soc.Rheology, Japan. 31(4). 201-206 (2003)
• [Publications] Isono Yoshinobu, Kawahara Seiichi et al.: "Evaluation of Filler Effects on SBR in Large Shearing Deformations. 1. Utility of Differential Dynamic Modulus as Pedictor for Wet Skid Resistance"Advances in Technology of Materials and Materials Processing J. 5(2). 84-91 (2003)
• [Publications] Kawadura Tetsuji, Isono Yoshinobu et al.: "Morphology and Crystallization Behavior of Lightly Crosslinked Natural Rubber in Blend"Rubber Chemistry and Technology. 76(5). 1164-1176 (2003)
• [Publications] kawahara Seiichi, Isono Yoshinobu et al.: "Poly(1,1-dimethyl silabutane) by Anionic Polymerization and Its Crystallization"Macromolecules. 37(2). 315-321 (2003)
• [Publications] Kawahara Seiichi, Isono Yoshinobu et al.: "Preparation and Characterization of Natural Rubber Dispersed in Nano-Matrix"Polymer. 44(16). 4527-4531 (2003)
• [Publications] Warunee Kinkklai, Isono Yoshinobu et al.: "Depolymerization and Ionic Conductivity of Enzymatically Deproteinized Natural Rubber Having Epoxy Group"European Polymer J.. 39(8). 1707-1712 (2003)