2004 Fiscal Year Annual Research Report
リスクベースデザインのためのフェーズフィールド法と組織自由エネルギー理論の融合
Project/Area Number |
14350368
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 敏幸 (独)物質・材料研究機構, 計算材料科学研究センター, 主任研究員 (80225599)
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Keywords | 組織自由エネルギー / フェーズフィールド / 材料設計 |
Research Abstract |
材料の組織の安定性を自由エネルギーの視点から明らかにする「組織自由エネルギー理論」と、場の関数として与えられた状態変数の時間発展を明らかにする「フェーズフィールド法」を融合させて、金属材料の複雑な組織変化を定量的に予測することを目的として、金属材料の中で最も複雑な組織を示すフェライト系耐熱鋼を対象とし研究を進め、これまでに(i)Fe-C-Cr-Co-W-Mo系における炭化物、金属間化合物のTTP(Time-Temperature-Precipitation)図の作成、(ii)Fe-C-Cr-W系におけるLaves相の析出形態変化のシミュレーション、(iii)鉄の加工組織の回復・再結晶過程のフェーズフィールド法によるシミュレーション、等を行ってきた。その過程で、材料の組織変化に伴う組織自由エネルギー値の変化が定量的に求めることができれば、組織形態の変化を時系列的に得ることができることがわかった。この観点でマルテンサイト組織の組織自由エネルギーの定量化を行った結果、組織エネルギーに対して結晶粒やマルテンサイトパケット境界などに起因する界面エネルギーの割合が1割程度と小さく、マルテンサイト相の組織エネルギーの大部分は歪エネルギーであることがわかった。さらに、その歪エネルギーは焼戻し処理でほぼ80%が開放され、クリープなどに伴うその後のエネルギー変化は2J/mol程度であることもわかった。このような小さなエネルギーを駆動力として組織変化を生じるためには、フェライト粒の不均一生成が不可欠であることが示唆され、この不均一生成が長時間クリープ強度の非線形的な劣化と密接に関連するものと考えられる。以上の研究から、リスクベースデザインのためには組織自由エネルギーを精度よく見積ることが最も重要であり、それによりフェーズフィールドシミュレーションが容易になるとの結論を得た。
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Research Products
(4 results)