2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350407
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大谷 吉生 金沢大学, 工学部, 教授 (10152175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 伸治 大正製薬(株), セルフメディケーション開発研究所, 主任(研究職)
並木 則和 金沢大学, 工学部, 助教授 (40262555)
|
Keywords | 遠心場 / 多孔質体 / ナノ粒子 / ミスト / 分散 / マイクロエマルション |
Research Abstract |
本研究では、高速で回転する多孔質体を利用して,反応物質を含む液滴(ミスト)を急激に混合することにより,半湿式で粒径のそろった大量のナノサイズ粒子を製造することを目的としている。昨年度は,分散させる試験液として,NaCl水溶液,PAO(poly alpha olefin)を用いて,分散される液滴の粒径分布や帯電量分布等の基本物性を調べた。 本年度は,まずこの回転式多孔質体分散器を高速で長時間安定して運転できるように,回転軸部に改良を施した。その上で,分散相にMMA(methylmethacrylate)モノマーおよび連続相に無機系懸濁安定剤を用いたO/WエマルションからPMMA(polymethylmethacrylate)粒子を懸濁重合により合成する系において,エマルションの微細化に本分散器を適用した。具体的には,攪拌機により予備混合した一定量のO/Wエマルションの懸濁液を高速で回転する多孔質体に一定回数通過させた後で,水で希釈し60℃まで加熱した後重合を開始させた。そして,生成したPMMA粒子をレーザー回折式粒径測定器により粒径分布を測定することで,重合前のエマルションの粒径分布を求めた。その結果,従来の攪拌混合で使用されている連続相の界面活性剤濃度(0.02wt%),懸濁安定剤濃度(21.5wt%)が,本分散器を用いた場合においてもエマルション同士を合一させない濃度条件であることがまず確認された。次に,回転数の増加により,多孔質体から出てくる液滴の径の減少とともに,その中に含まれるエマルションの径も,原液のそれ(100μm)に比べて数μmまで微細化されることがわかった。さらに,懸濁液のO/W比を従来の1/2から1/10に下げることで平均径を2μm程度まで小さくすることができた。このように,本装置は,分散に最適な液組成をあらかじめ見つけた上で,原液を連続的に供給することで,短時間で連続的にマイクロエマルションを調製することが可能である。
|