2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350429
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鈴木 俊光 関西大学, 工学部, 教授 (70026045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 寿浩 (独法)物質, 材料研究機構・物質研究所, 主任研究員 (80343846)
池永 直樹 関西大学, 工学部, 助教授 (20232209)
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Keywords | ダイヤモンド / 炭素繊維 / カーボンナノチューブ / ニッケル / メタン / エタン / CVD |
Research Abstract |
炭化水素変換においてNiなどの触媒の表面に副反応として繊維状の炭素が析出することは知られている。近年カーボンナノチューブが注目され、触媒を用いる製法も検討されている。本研究では、Ni塩を粉末ダイヤモンドに担持して、水素還元した後400〜800℃に加熱し、炭化水素ガスを通じることにより炭化水素の分解を行うと繊維状炭素がダイヤモンド表面に析出することを見出した。炭素源としてメタンエタンなどの炭化水素を用いるとエタンでは400℃付近から、メタンでは450℃付近から炭素の析出が起こり、メタンでは水素が、エタンを用いると水素の他にメタンやエチレンが生成した。いずれの炭化水素を用いたときにも最大炭素生成量を与える温度があり、エタンでは500℃、メタンでは550〜600℃の時に炭素析出量は最大になった。650℃以上の高温では炭化水素によらず全く炭素の析出は起こらなくなった。反応は時間の経過に伴い飽和し、1時間程度で析出が終了することもあるが、一時間後の析出量は、Ni1原子あたりエタンでは670原子の炭素が析出した。一方メタンを用いると250原子の炭素が析出した。これらの析出した繊維状炭素をSEM、TEMを用いて観測すると、いずれもナノサイズの炭素繊維で、メタンから600℃で析出させたときは20〜40nmのチューブがエタンから500℃で析出させたときはさらに細いより均一なチューブが生成していた。TEM観察からこれらのチューブは中空であり、10nmスケールの細孔が通じていることがわかり、多層のカーボンナノチューブが高速かつ多量に生成できることが初めて見出された。また、これらの実験は再現性は極めて良好であった。 X線回折では析出温度が低いため結晶化は十分進行していないが、26°に黒鉛の結晶構造による回折線が認められた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Ikenaga, K.Nakagawa, T.Ando, T.Suzuki: "A green Process for the Production of Carbon Nano-tubes in Organic Liquid"1st International Conference on Green & Sustainable Chemistry Proceedings. A-26 (2003)
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[Publications] 中川清晴, 蒲生西谷美香, 安藤寿浩: "カーボンナノチューブ新規合成プロセス"ペトロテック. 26・1. 30-35 (2003)