2003 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ脳の味覚嗅覚情報処理過程における神経活動電位の時空間変動の光学計測と解析
Project/Area Number |
14350437
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 久夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10127483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 昇 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (20304462)
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Keywords | カイコ / 味覚 / 桑 / 電気生理学的実験 |
Research Abstract |
カイコの幼虫は桑しか食べようとしないが、その理由はまだわかっていない。カイコ幼虫の味覚器は、咽頭に存在するとともに、頭部の小腮と呼ばれる突起上に存在する。平成14年度に引き続き、カイコ幼虫における味覚系の情報経路と味覚情報の処理機構を明らかにするための出発点として、化学刺激に対する小腮の応答を電気生理学的に測定するとともに、小腮から脳にいたる味覚系の情報経路を解剖学的に解析した。走査型電子顕微鏡を用いて、口器と味覚器の構造を細かく観察した結果、小腮は、小腮肢と小腮粒状体から構成されていることがわかった。カイコ幼虫の小腮を加熱した白金耳で焼いたところ、カイコ幼虫は小松菜など桑以外の植物も齧るようになった。小腮の食餌選択における役割をさらに調べるために、小腮肢と小腮粒状体をそれぞれ別々に塩酸で不活性化し、小松菜に対する食餌行動を調べた。その結果、小腮肢のみを不活性化しても、カイコ幼虫が小松菜を齧るようになることがわかった。そこで、カイコ幼虫の小腮肢の味覚応答を調べるために、電気生理学的実験を行った。桑の水抽出液を小腮肢に与えた時には、電位は殆ど変動しなかった。カイコ幼虫が食べない小松菜の水抽出液を与えると、5mVを越える大きな電位パルスが現れた。また、植物の葉によく含まれ昆虫が忌避することが知られているα-ピネンを与えたところ、電位パルスの発生頻度が著しく増加した。さらに、小腮肢にナトリウム、カルシウムおよびカリウムのイオンチャネル阻害剤を塗布したところ、いずれの場合にも電位パルスは発生せず、カイコ幼虫は小松菜を齧るようになった。これらの結果から、小腮肢がカイコ幼虫の摂食を抑制する物質の認識に関与していることがわかった。
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