2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞由来抗がん剤の高効率生産技術の開発と複合脂質膜を用いたガン治療への応用
Project/Area Number |
14350440
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
古崎 新太郎 崇城大学, 工学部, 教授 (40011209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 龍一 崇城大学, 工学部, 教授 (70099076)
松本 陽子 崇城大学, 工学部, 教授 (00133562)
山本 進二郎 崇城大学, 工学部, 講師 (40262307)
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Keywords | タキゾール / 有機溶媒 / カルス培養 / ハイブリッド型リポソーム / 抗がん剤 |
Research Abstract |
パクリタキセル(タキソール)が水に溶けにくい特性を持つことに着目して、疎水的な媒体である有機溶媒や気泡を用いてパクリタキセルを培養液から逐一分離する培養生産プロセスの開発を目指している。また、上岡らが開発したリン脂質と界面活性剤からなる複合脂質膜によってパクリタキセルを包含して、抗腫瘍効果を向上させる薬剤の開発も目的としている。 本年度は、昨年度に引き続きパクリタキセルの生産と回収に効果的な有機溶媒に関して種々の炭化水素、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコールをカルス培養に利用した。炭化水素はlogP値が高いものほど効果的であったが、脂肪酸エステルと脂肪酸アルコールは、logP値によらず細胞増殖とパクリタキセル生産の何れも向上することが示された。また、安全安価な気泡分離を用いるカルス培養では、細胞培養で合成されるパクリタキセルが気泡に伴って培養液中から分離され培養容器外に濃縮されることが明らかとなった。無細胞系で得られたパクリタキセル回収率とほぼ同様な結果が示され、起泡分離操作を伴う培養操作がパクリタキセルの分離回収に有効なことが示された。エリシターのジャスモン酸メチル(MJ)を有機溶媒に溶解して培養に利用した結果、高いMJ濃度ほどパクリタキセル生産を向上することが明らかとなった。何れの培養においてもショ糖の枯渇の回避が重要であった。また、パクリタキセルを複合脂質膜(ハイブリッド型リポソーム)に含有させて細網内皮系回避(RES回避)にかかわる物性(膜サイズ)と抗腫瘍効果を検討した。パクリタキセルの溶解性を向上させる目的で生体関連物質を加えた複合脂質膜は、4週間に亘り100μm以下の膜サイズを維持し、RES回避の可能性が示された。さらにその複合脂質膜は乳がん細胞に対して50%の増殖抑制効果が観察され、効果的な薬剤としての可能性が示された。
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Research Products
(7 results)