2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350446
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 工学部, 教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 敏彦 熊本大学, 工学部, 助手 (10332868)
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Keywords | 脂質二分子膜 / 光学活性 / 円二色性 / 分子配向膜 / シアニン色素 / 光学分割 / 液体クロマトグラフィー / オルガノゲル |
Research Abstract |
光学分割法として利用度が高まっているのがキラル固定相を利用する液体クロマトグラフ法であるが,光学活性体の多様性からより高性能な光学分割剤の開発が望まれ続けている。そこで本研究では,液体クロマトグラフ法の中でもっとも利用度が高く,しかもまだ実現されていない逆相分配系(RP-HPLC)での光学分割を可能とする固定相の開発を目的とした。一方申請者らは,トリアミド型L-グルタミド誘導脂質が有機溶媒中において脂質二分子膜様の会合体を形成し,溶媒をゲル化させることを明らかにしてきた。これらは特殊な不斉場を形成するため,このミクロ環境を液体クロマトグラフィーの固定相へ応用することを考えた。そこで,アミノ酸を出発物質とした重合性を有する人工脂質を合成し,この人工脂質からリポソームを作製した後,重合によって得られるナノゲルをシリカ上に固定化し,これを液体クロマトグラフィー用充填剤として利用することを当初計画として掲げた。本年度は,頭部に塩基性であるキノリン部位をもつトリアミド型L-グルタミド誘導脂質に着目し,同脂質から形成するナノゲルの光学分割を調査するとともに,シアニン色素を用いたキラリティの評価を行った。一定濃度の色素に異なる濃度の脂質を添加して有機溶液を調製し,それぞれの円二色スペクトルを測定したところ,ある濃度以上でアキラルなシアニン色素の極大吸収波長付近で光学活性が見られた。すなわち色素が脂質の会合体と相互作用して二量体を形成し,増幅キラリティの効果が確認された。また脂質とアミノ酸のD体とL体それぞれの有機溶液を緩衝溶液上に注入し,有機相から水相へのD体とL体の溶出挙動をUVスペクトルで評価したところ,脂質の存在下では脂質がない場合と比較してD体とL体の溶出時間に差が生じた。すなわち,脂質の会合体がアミノ酸の光学活性体を特殊な不斉場により識別したということが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Ihara, T.Sakurai, T.Yamada, T.Hashimoto, M.Takafuji, T.Sagawa, H.Hachisako: "Chirality Control of Self-Assembling Organogels from Lipophilic L-Glutamide Derivative with Metal Chlorides"Langmuir. 18. 7120-7123 (2002)
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[Publications] T.Sagawa, S.Fukugawa, T.Yamada, H.Ihara: "Self-Assembled Fibrillar Networks through Highly Oriented Aggregates of Porphyrin, Pyrene, and N, N-Dimethylaniline Hydrophobized by Dialkyl L-Glutamine in Ornmanic media"Langmuir. 18. 7223-7228 (2002)
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[Publications] M.Takafuji, T.Sakurai, T.Hashimoto, N.Kido, T.Yamada, T.Sagawa, H.Hachisako, H.Ihara: "Metal ion-induced chirality and morphology control of self-assembling organogels from L-glutamic acid-derived lipids"Chemistry Letters. 548-549 (2002)