2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350446
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10151648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 敏彦 熊本大学, 工学部, 助手 (10332868)
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Keywords | オルガノゲル / 誘起キラリティ / 円二色スペクトル / 自己組織化 / 脂質膜 / 高分子化有機ゲル |
Research Abstract |
光学分割を達成するためには,分子固有の不斉性だけに頼るよりも,分子配向等によって高度に組織化された超分子組織体を構築することが重要と考えられる。そこで本研究では,有機溶媒中において分子集合・配向し,これによって誘起キラリティを発現するとともに,高分子化によってこの光学活性が維持あるいは増幅されうる系を構築することを目標とした。これを達成するために,L-グルタミン酸をキー物質とし,アミド結合を介して2本の長鎖アルキル基と1個のビニル安息香酸を導入した新規な脂溶性アミノ酸誘導体を作製した。同誘導体は,ベンゼンやトルエン,シクロヘキサン中に加熱下で可溶であり,この溶液を室温に冷却すると溶液のゲル化を引き起こすことが確認された。そこで同誘導体をメチルアクリレートとの混合系においてラジカル重合を行い,組成比が1:2,1:4,1:12からなる共重合体を得た。これらの共重合体も,出発物質であるモノマーと同じように,様々な有機溶媒中でオルガノゲルを形成することが確認された。オルガノゲル形成の駆動力やメカニズムを調査するため,透過型電子顕微鏡観察や走査電子顕微鏡観察,円二色スペクトル法を用いて会合形態や不斉性を調査したところ,オルガノゲル形成にはグルタミン酸誘導体間の水素結合による分子間相互作用が重要な役割を果たしており,これを駆動力として脂質膜類似の分子配向体が形成されていることが明らかとなった。また,この会合体は一次元的に繊維状構造体として発達し,結果としてこのナノ繊維が絡み合うことによってネットワーク化することによりゲル化を誘起することも明らかにした。このように,得られたオルガノゲルは分子配向に基づくため,グルタミン酸誘導体固有の光学活性とは著しく異なる構造不斉性を示し,また,重合されているため,モノマー状態において観察される高温下での光学活性の著しい減少傾向が改善され,幅広い温度範囲で高い光学活性が維持されることを確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊原博隆, 櫻井敏彦, ほか6名: "Novel self-assembling organogelators by combination of double chain-alkylated L-glutamide and polymeric head group"Organic & Biomolecular Chemistry. 1. 3004-3006 (2003)
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[Publications] ジャミル・アレクペロフ, 伊原博隆, ほか4名: "Synthesis and conformational characterization of oligopeptide-cyclotriphosphazene hybrids"Polymer Journal. 35. 417-421 (2003)