2002 Fiscal Year Annual Research Report
δπ共役を利用する三次元(水車形)共役系構築による高伝導性錯体の合成と物性
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14350453
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川村 尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 昌弘 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80201961)
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Keywords | ルテニウム / ロジウム / 複核錯体 / δπ相互作用 / 電子配置 / テトラチアフルバレン / 結晶構造 / 伝導性 |
Research Abstract |
有機物と無機物の特性の組み合わせにより、新しい機能性物質を創り出すことができると期待される。本研究は、ロジウムやルテニウムのような第2遷移元素と、テトラチアフルバレン(TTF)のようなπ共役有機化合物を組み合わせることにより高伝導性物質を創ることを目指すものである。本年度は目的錯体合成と分子的性質の解析を中心に研究を進めた。 (1)Trimethyltetrathiafulvalenyldiphenylphosphineを合成し、これと2種類のdirhodium tetracarboxylateとの反応によりこのphosphineの2分子を軸位にもつ新規錯体を合成し構造を決定した。両錯体とも結晶において、TTF骨格が分子間πスタック配置して一次元鎖を構成していた。これら錯体の電気化学的酸化は2段階あり、第1段階は2つのTTF基それぞれ1電子ずつの計2電子1段階酸化、第2段階はロジウム原子間結合の1電子酸化であり、錯体分子内における2つのTTF基間の電子的相互作用は余り大きくないことが示された。(2)2-Aminothiazolateを架橋配位子とするルテニウム複核錯体およびその酸化体をそれそれ合成単離した。Ru_2^<5+>錯体は余り例のない(π^*)^3電子配置をもち、その酸化体Ru_2^<6+>錯体は(π^*)^2電子配置をもつことが示された。このような特徴的な電子構造が、2-Aminothiazolateの硫黄原子のπ形孤立電子対に由来する特異的に強いπ供与性、およびルテニウム原子間δ^*軌道と架橋配位子π軌道との軌道相互作用によることが示された。(3)Tetrathiafulvalene thiolateを架橋配位子とするロジウムや金の遷移金属複核錯体の合成を様々な反応条件において試みたが、まだ成功していない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Ebihara, N.Nagaya, N.Kawashima, T.Kawamura: "Diruthenium complexes with aminothiazolato ligand. X-ray and electronic structures of [Ru_2(dmat)_4Cl]^<0/+> (dmat = 4,5-dimethyl-2-methylaminothiazolato)"Inorg. Chim. Acta. (印刷中). (2003)