2003 Fiscal Year Annual Research Report
トライフェーズエピタキシー法による酸化物単結晶薄膜の作製と新機能開発
Project/Area Number |
14350459
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鯉沼 秀臣 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70011187)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 哲也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10189532)
知京 豊裕 独)物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, ディレクター (10354333)
松本 祐司 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 講師 (60302981)
|
Keywords | トライフェーズエピタキシー / 高温超伝導 / フラックス / コンビナトリアルケミストリー / 単結晶薄膜 / 酸化物 |
Research Abstract |
Tri-Phaseエピタキシー(TPE)法はバルク単結晶を作製する方法の一つであるフラックス法に基づいた薄膜作製技術である。この手法によって高温超伝導体NdBa_2Cu_3O_<7-d>(Nd123)の単結晶薄膜の作製に成功している。H14年度は、このTPE手法を用いて、CaをドープしたNd123、強誘電体(Bi_4Ti_3O_<12>)薄膜の作製に成功した。さらには3成分系のコンビナトリアル合成のシステムを新たに開発し、実験の高効率化を図ることができた。H15年度は、これらの技術をもとに今年度はコンビナトリアル手法を用いた強誘電体(Bi_4Ti_3O_<12>)の新規フラックス材料の探索を試みた。さらにTPE手法を固相プロセスへ応用したフラックス固相エピタキシーの概念を提案し、その有効性を実証した。 1、3成分系コンビナトリアルシステムによる強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>の新規フラックス材料探索 フラックス材料として自己フラックスが使用されることが多い。しかしながら、産業ベースでより大きな単結晶を作製するにはY_3Fe_5O_<12>で用いられているPb-B-Oなどのような不純物をフラックスとして用いることも必要である。しかし不純物フラックスの選び方の一般則はなく、適切なフラックス材料を選択することは困難を要する。そこで強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>のフラックス材料を3成分系のコンビナトリアル合成を用いて系統的に探索した。コンビナトリアル探索の結果、Bi-Cu-Oという新しいフラックス材料を見出すことができ、強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>の単結晶薄膜の作製に成功した。 2、TPE手法の固相プロセスへの応用:フラックス固相エピタキシー 本実験ではTPE手法を固相プロセスへ応用することを試みた。フラックス材料を使用しない一般的な手法によって強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>の薄膜を作製し、その上にフラックスとなるBi_2O_3を堆積させ、真空中にて高温アニールを行った。フラックスとBi_4Ti_3O_<12>薄膜は固相反応し、Bi_4Ti_3O_<12>薄膜の結晶性が著しく向上した。しかもアニール前は小さなグレインが存在し荒れていた表面が、分子層ステップを有する平坦な表面までに改善された。TPE手法は気相プロセスだけでなく、フラックス固相エピタキシーとして固相プロセスにも応用することができることが本実験からわかった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] R.Takahashi, Y.Matsumoto, H.Kohno, M.Kawasaki, H.Koinuma: "Fabrication of Nd_<1-x>Ca_xBa_2Cu_3O_<7-d> (x=0~0.3) single crystalline films by Tri-Phase Epitaxy"Journal of Crystal Growth. 260. 308-304 (2004)
-
[Publications] R.Takahashi, H.Kubota, M.Murakami, Y.Yamamoto, Y.Matsumoto, H.Koinuma: "Design of Combinatorial Shadow Masks for Complete Ternary Phase Diagramming of Solid State Materials"Journal of Combinatorial Chemistry, 6. 50-53 (2004)
-
[Publications] R.Takahashi, H.Kubota, T.Tanigawa, M.Murakami, Y.Yamamoto, Y.Matsumoto, H.Koinuma: "Development of a New Combinatorial Mask for Addressable Ternary Phase Diagramming"Applied Surface Science. 223. 249-252 (2004)
-
[Publications] N.Matsuki, Y.Abiko, K.Miyazaki, M.Kobayashi, H.Fujioka, H.Koinuma: "Concept and performance of field-effect amorphous silicon solar cell"Semiconductor Science and Technology. 19. 61-64 (2004)
-
[Publications] 鯉沼秀臣, 高橋竜太: "ナノ・IT時代の分子機能材料と素子開発"NTS出版. 8 (2004)