2002 Fiscal Year Annual Research Report
カルベン錯体の新規発生法を機軸とした新規触媒反応の開発
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14350468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90213636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 榮 京都大学, 工学研究科, 教授 (70027069)
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Keywords | 酢酸プロパルギル / ビニルカルベノイド / シクロプロパン化反応 / π-アルキン錯体 / [3,3]シグマトロピー転位 / [3+4]型還化付加 |
Research Abstract |
■酢酸プロパルギルをビニルカルベノイド前駆体とした触媒的シクロプロパン化反応の開発 種々の遷移金属錯体触媒存在下,(Z)-β-エチニル-α,β-不飽和ケトンはアルケン類と反応し2-フリルシクロプロパンを与えることを既に報告している。本反応は,π-アルキン錯体の5-エキソ環化により発生する2-フリルカルベン錯体を鍵中間体として進行していると考えられる。 本研究では,π-アルキン錯体の反応様式に着目して酢酸プロパルギルを基質とした反応を検討した結果,ビニルカルベノイド中間体が発生することを見出した。すなわち,種々の遷移金属錯体触媒存在下、三級の酢酸プロパルギルをアルケン類と反応させるとアセタート基の1,2-移動によってビニルカルベノイドが発生し,アルケン類が効率良くシクロプロパン化された。様々な後周期遷移金属錯体に触媒活性があり,中でも[RuCl2(CO)3]2やPtCl2が最も高い触媒活性を示した。また,本シクロプロパン化反応では電子豊富なアルケンほど反応性が高く,中間体ビニルカルベノイドは求電子的性質が高いと考えられる。また,[RuCl2(CO)3]2触媒による三級の酢酸プロパルギルとイソプレンとの反応では,シクロプロパン化反応とそれに続く[3,3]シグマトロピー転位によって形式的にビニルカルベンとジエンとからの[3+4]型環化付加生成物が得られることも明らかとなった。本シクロプロパン化反応に使用できる酢酸プロパルギルは三級,二級のものに限られ,一級のものは全く反応しなかった。 本触媒反応の開発によって,酢酸プロパルギル類がビニルカルベノイド前駆体となることが初めて明らかにされた。本法はカルベノイド前駆体としてジアゾアルカン類を用いない全く新しいタイプの反応として応用が期待できる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Miki, K.Ohe, S.Uemura: "A New Ruthenium-Catalyzed Cyclopropanation of Alkenes using Propargylic Acetates as a Precursor of Vinylcarbenoids"Tetrahedron Letters. 44・10. 2019-2022 (2003)