2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能性材料の創製を目指したカーボンナノチューブ表面の有機化学的修飾
Project/Area Number |
14350475
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 静昭 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50157781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩松 将一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (60345866)
鈴木 敏泰 分子科学研究所, 助教授 (60260030)
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Keywords | フラーレン / パラジウムメタラサイクル / アニリン / カーボンナノチューブ / オルトフェニレンジアミン / 付加反応 |
Research Abstract |
昨年度明らかにすることができた、カーボンナノチューブ表面への有機チッ素化合物の付加反応による表面の改質反応を発展させる研究を行った。単壁カーボンナノチューブとフェニルヒドラジン誘導体との反応は、界面活性剤存在下に溶液中に分散(一部可溶化)させた状態で再現生良く進行することを見出した。さらに、フェニルヒドラジン上の置換基の電子供与性が大きいほど反応効率が高くなることが判明した。得られた表面改質カーボンナノチューブには、炭素原子250個当り最大1個のフェニルヒドラジンが結合しており、通常の有機溶媒に可溶である。さらに付加反応は可逆的で、生成物を熱することにより脱離反応が進行し、カーボンナノチューブに戻ることも明らかにした。以上の結果を総合し、以下に示す二つの成果を得ることができた。1)フェニルヒドラジンはカーボンナノチューブに対して特異的な付加反応剤として働くことが強く示唆された。2)カーボンナノチューブを付加生成物として有機溶媒に溶解、溶液をスピンコート法やインクジェット法で薄膜やパターン印刷を行い、その後熱して再生させることによりカーボンナノチューブの複雑な加工が可能になる。1)の成果はフラーレンの改質にも応用可能で、フェニルヒドラジンによるフラーレンジケトン誘導体への付加・環拡大反応を用いる大口径開口フラーレン誘導体の合成に成功した。得られた開口フラーレン誘導体は、小分子をフラーレン内部空間に内包させるのに適した物質であり、大員環サイズを15〜19へと変化させることによって水素分子から水分子と大きさの異なる分子内包フラーレンを合成することに成功した。特に、水分子内包フラーレンの合成は世界で初めての極性分子内包例であると共に極限サイズの成功例でもある。
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Research Products
(6 results)