2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子組織体"超高密度"ポリマーブラシに関する基礎的研究
Project/Area Number |
14350496
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00217308)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 助手 (20335219)
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 助手 (00335217)
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00111972)
|
Keywords | 高分子ブラシ / 電解質高分子 / 膨潤特性 / リビングラジカル重合 / グラフト重合 / 解離度 / ヘミアセタールエステル / 原子移動ラジカル重合 |
Research Abstract |
申請者らは、リビングラジカル重合法をいち早く表面グラフト重合に適用し、鎖長および鎖長分布の制御に加え、グラフト密度が従来法の10倍にも及ぶ超高密度化にはじめて成功した。得られたポリマーブラシの良溶媒中での構造と物性を評価した結果、グラフト鎖はほぼ伸びきり鎖長にまで高度に伸張され、従来にない表面特性を示すことを見出した。本研究は、この分子組織体としての超高密度ポリマーブラシ(濃厚ブラシ)の基礎科学を確立することを目的とする。本年度は、対称を電解質高分子にまで拡張するために弱電解質高分子ブラシの精密合成に取り組み、その膨潤挙動を調べた。 弱電解質ブラシとしてポリメタクリル酸をグラフトするために、そのカルボキシル基をヘミアセタールエステル結合により保護したメタクリル酸プロポキシエチル(PEMA)のグラフト重合を行った。具体的には、2-(4-クロロスルホニルフェニル)エチルトリクロロシランをシリコン基板表面に固定化後、これを、臭化銅、L-(-)-スパルテイン(リガンド)、フリー重合開始剤、モノマー、溶媒(アニソール)を所定濃度で混合した重合溶液に浸漬し、脱気封管後50℃で重合した。グラフト膜厚は、グラフト重合時に得られるフリーポリマーのM_nに比例して増大しており、グラフト重合が制御されて進行していることが示唆された。また、グラフト密度は0.4chains/nm^2とポリメタクリル酸メチル超高密度高分子ブラシ系に匹敵す高い値であった。赤外吸収スペクトル測定の結果、このグラフト基板を触媒存在下120℃に加熱することにより、グラフト鎖をほぼ定量的にポリメタクリル酸に変換できるごとを確認した。グラフト重合時にエポキシ基をもつメタクリル酸グリシジルを添加(共重合)し、脱保護によるグラフト鎖間の架橋にも成功した。これらの弱電癖質高分子ブラシの水に対する膨潤特性を調べた結果、高密度ゆえに電荷調節機能が顕著に働き、見かけのpKaが大きくシフトすることを明らかにした。
|