2004 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウムの自由界面での第2音波熱パルス-蒸発波間のエネルギーモード変換
Project/Area Number |
14350506
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 正秀 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (40111588)
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Keywords | 超流動液体ヘリウム / 蒸発現象 / 第2音波熱パルス / 沸騰現象 / キャビテーション |
Research Abstract |
超流動ヘリウム(He II)蒸発現象の定量的に扱いには、自由界面を横切る方向の巨視的エネルギーモード変換が重要であり、本研究では幾つかの関連する現象について実験的研究を行った。 1.熱パルスのHe II自由界面への斜め入射による蒸発問題:第2音波起源の入射波、同反射波それに蒸発波間でのエネルギー釣り合いから導かれた理論値と、実験値とはかなり良い定量的一致(95%程度)が得られることが示された。しかし、若干の食い違いが見られ、それは入射-反射の際に付加的に誘起される第1音起源の(反射)圧縮波と、リップロンなどの表面波的振る舞いが勘定に入っていないためと考えられ、これに関する実験を行った。結果的には、この様な巨視的な実験の精度の範囲内では、この食い違いについての定量的説明は与えられないのではないかという結論に至った。さらに、大入射角での斜め入射に際しての波動成分の全反射についても実験的に追求去れた。結果としては、波頭部分についてはこの全反射効果が現れるが、それに続く一様入射部分では波動性が無いため全反射は起こらないことが示された。 2.He II沸騰時のエネルギーバランスの計測:飽和沸騰時にHe II-気相界面に現れる高密度渦層と、サブクール膜沸時に蒸気-He II間に現れるHe I相の、熱移動現象への影響について実験的に調べた。また、ノイジー膜沸騰に関わる大規模不安定現象時の界面からの蒸発現象についても調べた。さらにサブクール域においても新たな不安定な膜沸騰モードが見つかった。 3.ベンチュリ流路におけるHe IIのキャビテーション流れ:キャビテーションによる温度低下の流路内分布の計測。これよりエネルギーバランス式の議論を展開するためにはボイド率の計測が必須であり、このため、PIV法による蒸気泡の流速計測が行われ、ボイド数が推測された。この結果を基に、蒸気泡形成-成長に必要な潜熱供給というエネルギバランスの観点からの、超流動体としてのHe IIと常流体He Iのキャビテーション流れの違いが明らかにされた。
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Research Products
(5 results)