2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラープローブの熱防御システムに関する熱気体力学的研究
Project/Area Number |
14350508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏二郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (10226508)
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Keywords | ソーラープローブ / 熱防御システム / 輻射加熱 / グラファイト / 昇華 / 希薄気体 / 太陽風 |
Research Abstract |
ソーラープローブミッションは、コロナのその場観測により太陽風の加速メカニズム解明を目指すものである。コロナに突入する衛星の熱防御システムには、太陽近傍の厳しい加熱環境に耐えられること、その際に観測に支障が出ないよう、コンタミネーションを出さないこと、が求められる。本年度はまず、衛星の熱シールドの概念設計に関する研究を行った。熱シールド材としてグラファイトを考え、その温度と表面からの昇華ガス発生を予測する簡易解析モデルを作成し、次の事が明らかになった。 ・衛星への熱伝達とシールドからの昇華ガス発生量を押さえるには、太陽光の入射方向に円盤状シールドを重ねる多重シールド方式が有効である。 ・前後のシールドを離し、最前面のシールドを傾けて、前方シールド裏面からの輻射冷却を側方に逃がすのがよい。 ・自由分子流を仮定して熱シールドからの昇華ガスの空間分布を見積る簡易手法を構築し、解析を行った。衛星周辺の昇華ガスの数密度は、太陽風の数密度と同程度であり、観測上、無視できない。 従って、真空チャンバーと炭酸ガスレーザーを用いた強輻射加熱環境実験では、加熱されるサンプル周りの昇体密度に関する計測に重点を置く必要がある。昇華ガスの流れは希薄気体であるため、放電発光および電子ビームによる手法が有望と考え、実験装置の開発を行った。前者について予備実験を行い、衝撃波などの可視化に有効であることを確認した。後者についても装置の準備を進めている。また、発光の分光計測を行うため、分光器システムの導入を行った。昇華ガスと太陽風の干渉を模擬するためには希薄高速プラズマ流発生源が必要である。本年度は誘導プラズマの流れ解析コードを開発し、高周波電源からの加熱により高温プラズマができることを計算で確認した.次年度は、この計算コードを用いて誘導プラズマトーチの設計製作を行う。
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Research Products
(1 results)