2005 Fiscal Year Annual Research Report
金星の低高度を飛翔する水蒸気を浮力媒体とした膨張型気球
Project/Area Number |
14350515
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
井筒 直樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・大気球観測センター, 助手 (90184639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲哉 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙輸送工学研究系, 助手 (10280554)
後藤 健 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙構造・材料工学研究系, 助教授 (40300701)
|
Keywords | 気球 / 金星探査 / 惑星探査 / 大気突入カプセル |
Research Abstract |
高温,高圧,硫酸性の大気を有する金星の厚い雲の下,高度35km(大気圧0.6MPa、大気温度180℃)にスーパープレッシャー型気球を長期間浮遊させることを目的とした膨張型気球システムについての研究を行ってきた。新たに考案した水蒸気を浮揚ガスとする自己膨張型気球の実現を図るために必要となる気球本体技術を確立し,さらに,金星大気突入後の気球の展開・膨張過程のシミュレーション手法の研究を行った。 1 気球のライフタイムの向上 気球用皮膜として,水蒸気バリア性能に非常に優れている耐熱性液晶ポリマーフィルムを使用し,さらに、ニッケルメッキ、ルテニウムメッキ、ダイヤモンドライクカーボンの3層コートを施すことにより目標としてきた1ヶ月を大幅に上回る半年程度の長期間の浮遊時間が確保できる目処がついた。これは,実際に上記の処理を施した皮膜の高温水蒸気透過度を,高温恒温器と精密電子天秤を用いた直接計測法により求めることにより評価を行った。液晶ポリマーへの加工性,コーティング層の密着性について,下地の加熱処理,表面調整の最適化を検討し,密着度に問題ないレベルに到達した。これにより、バリア性能が高く柔軟性に富んだ気球用皮膜が製作可能となった。 2 金星大気突入と気球の展開 耐熱エントリーカプセルに収納された気球を効率よく展開する方法についてシミュレーションを行い検討した。気球内部の熱伝達を層にわけた手法によりシミュレーションすることにより,より実際の膨張過程に近い解析が可能となった。実機の各部の熱伝達率を実測することにより,この解析手法を用いて実際の膨張過程が予測可能となる。今後,気球の降下中の,気球・大気間,気球・惑星間の輻射熱伝達を加えることにより,より実際の膨張過程に近づけることを行う予定である。
|
Research Products
(5 results)