閉鎖性水域における赤潮の増殖過程の予測シミュレーションと対策の研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14350526
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 小瀬 邦治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40034409)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大春 慎之助 中央大学, 理工学部, 教授 (40063721) ; 平田 法隆 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80181163) ; 土井 康明 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10134454) ; 安川 宏紀 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40363022) ; 陸田 秀実 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80273126)
• Keywords: 閉鎖性海域 / 水質計測 / 生態系計測 / 隔離水隗 / 環境シュミレータ / かき筏 / POM

Research Abstract

前年度に引き続き,かき筏内で、天候,水質計測およびプランクトンの増殖状況の観測を行うとともに,計測結果を基に数理生態モデルの構築を行った.計測には,リアルタイムモニタリングシステムを用いた定点における水質の連続計測に加えて潮流等の外部影響を除去する目的で隔離水隗(メソコスム)を用いた.本年度はさらに,メソコスム内の流動影響を見るためのマイクロコスムを作成した.隔離水隗での計測項目は,水温,塩分濃度,溶存酸素,PH,クロロフィルa,栄養塩,プランクトン量とした.水深による光量の違いによりクロロフィル,溶存酸素,PHに有意な変化が観測された.またメソクスム内外の比較により水平対流の影響を,マイクロコスム内外の比較から鉛直対流の影響を評価することができた.
数理生態モデルは,溶存酸素,溶存無機態リン,懸濁態有機物,溶存態有機物を変数とし,補助変数として塩分濃度,水温を入力値として与えた.昨年度モデルにかきの影響を考慮したモデル構築を行なった.
また,海洋モデルPOMをベースに開発した沿岸海洋モデルに,かき筏の抵抗および風況による吹送流を考慮し,広島湾内の流況シミュレーションを可能にした.さらに数理生態モデルを結合することにより流況を考慮した水質,生態系のシミュレーションを可能とする環境シミュレータを開発した.
環境シミュレータを用いた解析により,かき筏による流況変化ならびにかきの捕食がプランプトンの増減に有意な影響を与えることがわかった.そして,かき筏の配置により流況ならびに生態系を制御し,ひいては赤潮を抑制する可能性を示すごとができた.

Research Products

• [Publications] 陸田秀実: "広島湾の流況と物質輸送に関する数値解析"海岸工学論文集. 第50巻. 381-385 (2003)
• [Publications] 陸田秀実: "局所気象モデルを用いた瀬戸内海の風況解析と吹送流の応答特性"海岸工学論文集. 第50巻. 436-440 (2003)
• [Publications] 脇本淳子: "珪藻類の相変異と栄養塩の産生過程を考慮した赤潮の生態系モデル:数値シミュレーションによる評価"地球環境レポート. 9号(掲載予定). (2004)