2002 Fiscal Year Annual Research Report

水ストレスが老化過程の葉の光合成速度に及ぼす影響の分子機構

Research Project

Project/Area Number	14360010
Research Institution	Tokyo University of Agriculture and Technology
Principal Investigator	平沢正東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	金勝一樹東京農工大学, 農学部, 助教授 (60177508) 大川泰一郎東京農工大学, 農学部, 助教授 (80213643)
Keywords	光合成 / 窒素含量 / プロテインキナーゼ / β-アミラーゼ / 水ストレス / Rubisco / Rubisco遺伝子 / 老化
Research Abstract	1.作物は低土壌水分条件に生育すると、老化過程における葉身の光合成速度の低下が著しく促進される。この時の葉身の光合成速度の低下は、葉身の窒素含量、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)含量の減少と密接な関係があることをまず水稲で確かめた。ついで、水分の低下したバーミキュライトに生育する水稲を用いて、水ストレスによって葉身の窒素含量、Rubisco含量の減少する要因を検討した。その結果の概要は以下の通りである。 (1)水ストレス条件での葉身のRubisco含量の減少とRubiscoのラージサブユニット、スモールサブユニット遺伝子(rbcL, rbcS)の転写蓄積量との間には有意な相関関係がなかったことから、このRubisco含量の減少はRubiscoの合成の抑制よりもRubiscoの分解が促進されるためであると推察された。 (2)水ストレス条件下での葉身の窒素含量の減少は主としてRubiscoを構成している窒素の減少によって説明でき、そして水ストレス条件下では葉身の窒素は主として根に再分配されることが分った。 2.水ストレスに応答してβ-アミラーゼが誘導されるキュウリ子葉の実験系をモデルとして、水ストレスのシグナル伝達機構について生化学的な解析を行った。その結果、水ストレスはアブシジン酸を介して伝達され、β-アミラーゼ活性が誘導されることが明らかになった。さらに、水ストレスあるいはアブシジン酸処理で200kDaのプロテインキナーゼが特異的に活性化することが明らかとなり、本プロテインキナーゼが水ストレスのシグナル伝達機構で重要な役割を果たすことが示唆された。

Research Products

(6 results)

All Other

All Publications (6 results)

[Publications] Ookawa, T.: "A comparison of the accumulation and partitioning of nitrogen in plants between two rice cultivars, Akenohoshi and Nipponbare, at the ripening stage"Plant Production Science. 6(3)(印刷中). (2003)
[Publications] Nakamura, E.: "Effects of soil moisture depletion for one month before flowering on dry matter production and ecophysiological characteristics of wheat plants in wet soil during grain filling"Plant Production Science. 6(3)(印刷中). (2003)
[Publications] 大川泰一郎: "サイトカイニン散布により登熟期の水稲葉身のリブロース1-5,ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ含量が高く維持される要因"日本作物学会紀事. 71(別1). 74-75 (2003)
[Publications] 柳原里子: "土壌水分の低下が老化過程における水稲の葉身の光合成速度に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 180-181 (2003)
[Publications] 尾崎剛一: "水ストレスが老化過程における水稲の葉身の光合成速度および体内窒素含量、窒素分配に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 182-183 (2003)
[Publications] 戸高大輔: "キュウリ子葉における乾燥ストレス応答性β-アミラーゼの誘導に対するアブシジン酸の効果"日本作物学会紀事. 71(別2). 232-233 (2003)

2002 Fiscal Year Annual Research Report

水ストレスが老化過程の葉の光合成速度に及ぼす影響の分子機構

Principal Investigator

平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)

Research Products

[Publications] Ookawa, T.: "A comparison of the accumulation and partitioning of nitrogen in plants between two rice cultivars, Akenohoshi and Nipponbare, at the ripening stage"Plant Production Science. 6(3)(印刷中). (2003)

[Publications] Nakamura, E.: "Effects of soil moisture depletion for one month before flowering on dry matter production and ecophysiological characteristics of wheat plants in wet soil during grain filling"Plant Production Science. 6(3)(印刷中). (2003)

[Publications] 大川泰一郎: "サイトカイニン散布により登熟期の水稲葉身のリブロース1-5,ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ含量が高く維持される要因"日本作物学会紀事. 71(別1). 74-75 (2003)

[Publications] 柳原 里子: "土壌水分の低下が老化過程における水稲の葉身の光合成速度に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 180-181 (2003)

[Publications] 尾崎 剛一: "水ストレスが老化過程における水稲の葉身の光合成速度および体内窒素含量、窒素分配に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 182-183 (2003)

[Publications] 戸高 大輔: "キュウリ子葉における乾燥ストレス応答性β-アミラーゼの誘導に対するアブシジン酸の効果"日本作物学会紀事. 71(別2). 232-233 (2003)

平沢正東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)

[Publications] 柳原里子: "土壌水分の低下が老化過程における水稲の葉身の光合成速度に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 180-181 (2003)

[Publications] 尾崎剛一: "水ストレスが老化過程における水稲の葉身の光合成速度および体内窒素含量、窒素分配に及ぼす影響"日本作物学会紀事. 71(別2). 182-183 (2003)

[Publications] 戸高大輔: "キュウリ子葉における乾燥ストレス応答性β-アミラーゼの誘導に対するアブシジン酸の効果"日本作物学会紀事. 71(別2). 232-233 (2003)