2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度イメージング法による水の動態解析を利用した作物の生理障害発生機構の解析
Project/Area Number |
14360014
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西澤 隆 山形大学, 農学部, 助教授 (10208176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 友子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30124275)
川満 芳信 琉球大学, 農学部, 助教授 (20192552)
松嶋 卯月 琉球大学, 農学部, 助手 (70315464)
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Keywords | 中性子ラジオグラフィー / 細胞壁 / カルシウム / 水ポテンシャル / ポジトロン / ガラクトシダーゼ / 近赤外線 / 生理障害 |
Research Abstract |
1.生きた植物中の水の動態を中性子線ならびにポジトロン放出核種を用いて解析を行った.中性子線では土壌中のダイズ根周辺土壌中の水勾配を定性的に求めることができた.ポジトロン放出核種を用いた水分動態では18-F(半減期:110分)と15-O(半減期:2分)で標識した水の動態に差があることが判明した. 2.キク切り花各部位における冷中性子ラジオグラフィーを行い,高分解能及び高コントラストの水分分布画像を得た.得られた画像の輝度情報から,葉部及び茎部の体積含水率を推定した. 3.カーネーション切り花萎凋時の水分分布変化を熱中性子ラジオグラフィー及び極冷中性子ラジオグラフィーを用いて観察した.極冷中性子による水分変化の割合は熱中性子より大きく,高いコントラストで水分変化を測定可能であることが明らかになった. 4.有機性廃棄物に酸化カルシウム剤を添加することにより作成した強アルカリ処理有機性廃棄物は,高濃度のカルシウムを含むものの,正常にメロンを栽培することが可能であり,収穫されるメロンの品質は果肉硬度が高く,水分過剰に伴う生理障害の発生を回避できることを明らかにした. 5.メロン果実の「水浸症状」発生に伴う細胞壁ガラクトースの損失を調べ,ペクチン側鎖を構成する主要な糖であるガラクトースの損失がこの症状の発生に寄与していることを明らかにした. 6.イチゴ果実の水分に大きな影響を与える糖集積の変化を,栽培種及び野生種について調べ,特に日本の品種が顕著なスクロース蓄積を示す型であること,糖の集積と果実の日持ち性に相関があることを明らかにした. 7.メロンの葉のカルシウム欠乏症に伴う形態変化と水分分布の関係を中性子イメージングを用いて調べ,維管束から離れるに従って水が不均一に分布することを明らかにした. 8.野生種及び栽培種イチゴにおける細胞壁組成の変化を調べ,特にチリイチゴで低分子ペクチンが豊富に含まれていることを明らかにした. 9.エチレン処理したリョクトウもやし胚軸由来のβガラクトシダーゼを精製し,エチレン処理によりこの酵素の活性が低下することが,もやしの胚軸を太らせる要因ではないかと推察した.
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[Publications] 伊藤彩香, 西沢 隆: "早田ウリの特性を調べる"山形在来作物研究会誌. 1. 18-20 (2003)
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[Publications] 西沢 隆, 佐々木敦子, 松嶋卯月, 川端祐司: "カルシウム欠乏がメロンの葉の水分布および葉の生理機能に及ぼす影響"園芸学会雑誌. 72別2. 363-363 (2003)
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[Publications] 近藤裕子, 西沢 隆, 佐々木由佳, J.B.Retamales, A.Lavin: "Fragaria × ananassaとFragaria chiloensis果実の生長に伴う果肉硬度および細胞壁多糖類の変化"園芸学会雑誌. 72別2. 388-388 (2003)
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[Publications] 早見 功, 元村佳恵, 西沢 隆: "リョクトウモヤシ芽生え胚軸由来βガラクトシダーゼの精製と酵素活性に対するエチレン発生剤の影響"園芸学会雑誌. 72別2. 505-505 (2003)
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[Publications] 森 佑子, 近藤裕子, 西沢 隆, 佐々木由佳, J.B.Retamales, A.Lavin: "Fragaria chiloensisとF. x ananassaにおける果実生長に伴う糖蓄積の変化"平成15園芸学会東北支部会発表要旨. 43-44 (2003)
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[Publications] 西沢 隆, 戸谷 史, 近藤裕子, 宍戸良洋: "アルカリ処理した有機性廃棄物の施用時期がメロン'プリンス'苗の生長および果実品質に及ぼす影響"平成15園芸学会東北支部会発表要旨. 47-48 (2003)
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[Publications] 相川敏之, 西沢 隆: "メロン果実の水浸状果と過熟果の細胞壁におけるガラクトース損失の比較"平成15園芸学会東北支部会発表要旨. 45-46 (2003)
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[Publications] Nishizawa T.: "Strawberry production in Japan"University of Florida Extension Berry/Vegetable Times. June-July. 5-6 (2003)
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[Publications] Nakanishi, T.M., Y.Okuni, J.Furukawa, K.Tanoi, H.Yokota, N.Ikeue, M.Matsubayashi, H.Uchida, A.Tsiji: "Water movement in a plant sample by neutron beam analysis as well as positron emission tracer imaging system"Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry. 255・1. 149-153 (2003)
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[Publications] Nakanishi T.M.: "Application of neutron beam technique to plant study"The International Conference on Neutron Optics (NOP 2004). (in press). (2004)
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[Publications] Matsushima U., Y.Kawabata, C-M.Sim, K-Y.Nam, T.Nishizawa: "Changes in water distribution during senescence in cut carnation flowers"QualiFlor 2003 8th International Symposium on Postharvest Physiology of Ornamentals. (in press). (2003)
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[Publications] Matsushima U., Y.Kawabata, T.Horie: "Estimation of the volumetric water content in chrysanthemum tissues"MARC. VI. 7-11 (2003)
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[Publications] 川満芳信, 木永泰山, 上野正実, 小宮康明, 平良栄三, 松田 昇: "近赤外線分析装置(NIR)による作物の有効成分非破壊計測に関する研究"琉球大学農学部学術報告. 50. 1-6 (2003)
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[Publications] 川満芳信, 吉原 徹, 川元知行, 徳丸慶太郎: "マングローブ3樹種の葉のガス交換特性に与えるNaCl濃度および環境要因の影響"琉球大学農学部学術報告. 50. 7-19 (2003)
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[Publications] Kawamitsu Y., K.Kosaka, S.Abe, A.Nose, J.N.Buah: "Regulation of photosynethsis during the light period in CAM plants-Evaluation by a gas-phase O_2 electrode and a compensating infrared CO_2 analysis system-"Environmental Control in Biology. 40・4. 355-364 (2003)