2002 Fiscal Year Annual Research Report
根内共生糸状菌Heteroconiumによる植物への誘導抵抗性の構築
Project/Area Number |
14360025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽柴 輝良 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20189476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 茂 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40108428)
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Keywords | Heteroconium chaetospira / 根内共生糸状菌 / フェノール性化合物 / サリチル酸 / フェニルプロパノイド経路 / 誘導抵抗性 |
Research Abstract |
1)H. chaetospiraを土壌混和法によりハクサイに処理したところ、播種から2週間後に根の表層細胞への侵入・定着が見られた。また、播種20日目から地上部の生育促進効果が観察され、新鮮重で約60%、乾物重では約30%の促進が見られた。この効果は根では見られず、地上部に特異的であった。 2)土壌混和法により、H. chaetospira処理を行ったハクサイの地上部に、アブラナ科黒斑病菌のAlternaria brassicaeを噴霧接種したところ、どの部位の葉でも病斑数、及び発病程度に低下が見られた。また、アブラナ科黒斑細菌病のPseudomonas syringae pv.maculicolaを噴霧接種したところ、病斑数、及び発病程度に大幅な低下が見られた。この結果から、H. chaetospiraにより、ハクサイの地上部に抵抗性が誘導され、その機構は、植物を介した間接的なものであり、かつ全身的であると考えられた。また、菌類病だけではなく、細菌病にも効果があるなど、幅広い効果を示した。 3)誘導された抵抗性が、どのような機構によるものであるかを調べるために、サリチル酸、フェノール性化合物類、エチレン前駆体ACCについて含量の経時的変化を測定した。H. chaetospiraの単独処理を行なった区では、対照区と比較して違いは見られないか、もしくは含量の低下を示した。それに対して、H. chaetospira処理を行なったハクサイに対して病原菌(黒斑病菌)を接種し、測定を行ったところ、フェニルプロパノイド経路のサリチル酸とフェノール性化合物類において、対照区と比較して急速な生成・蓄積が観察された。 以上のことから、根内に定着する糸状菌H. chaetospiraハクサイに処理することにより、離れた部位である地上部において空気伝染性病害に対する抵抗性が現れること、また、生理活性物質などの生合成スピードに違いが現れることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 羽柴 輝良: "根部エンドファイトの共生および病害抑制メカニズム"日本農芸化学会誌. 77・2. 130-133 (2003)
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[Publications] S.Morita: "Induced systemic resistance of Chinese cabbage to bacterial leaf spot and Altemaria leaf spot by the root endophytic fungus, Heteroconium chaetospira"J. General Plant Pathos.. 69. 71-75 (2003)
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[Publications] K.Narisawa: "Ultrastructural study on interaction between a sterile, white endophytic fungus and eggplant roots"J. General Plant Pathol. (in press). (2003)
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[Publications] 羽柴 輝良: "新農学実験マニュアル"ソフトサイエンス社. 289 (2002)