2005 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤抵抗性系統コナガの感受性回復過程に関与する生理的誘導多発生機構
Project/Area Number |
14360029
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中筋 房夫 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20109317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮竹 貴久 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (80332790)
福田 宏 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (70325083)
|
Keywords | コナガ / フェンバレレート / 抵抗性 / 感受性回復 / 卵サイズ / ストレス環境 / 適応度 / 無淘汰 |
Research Abstract |
害虫個体群が度重なる殺虫剤の淘汰を受けると抵抗性が発達する。一方、抵抗性が発達した害虫個体群に対する淘汰が中止すると、数世代で感受性が回復する例が見られる。コナガの合成ピレスロイド抵抗性もその例である。これは、抵抗性発達に伴って何らかの生活史形質の劣化が生じているためだとみられるが、そのことが実証されたことはない。 今年度の研究では、感受性個体群に比べて約1万倍に抵抗性を上昇させ、卵サイズが小型化したフェンバレレート抵抗性個体群を、殺虫剤淘汰の無い状態で、ストレス環境下(高温、乾燥)と好適環境下(適温、適湿)それぞれで累代飼育し、ストレス環境系統、好適環境系統をつくり、それらの感受性と卵サイズの回復を調査した。10世代経過後のLD50値は好適環境系統よりストレス環境系統でより低くなった。系統間の比較では、すべての世代でストレス環境系統で低く、早い世代から感受性の回復が進んでいた。同時にどちらの系統も卵サイズは大型化した。しかしながら、ストレス環境系統の方がより早く大型化した。最終的には、両系統とも正常な卵サイズに戻った。両系統を同じ好適環境下で個体飼育し生存率を比較したところ、ストレス環境系統の方が好適環境より有意に高く、ストレス環境下で生存力の低い個体が選択的に排除されていることが示された。これらの結果から、感受性の回復速度はストレス環境下で早く、それは卵サイズが小さく生存力が低い抵抗性個体がストレス環境下で排除され、卵サイズの大きな感受性個体が速やかに数を増やしたためと考えられた。
|