2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫幼若ホルモン(JH)拮抗阻害物質の創製とJHレセプターの単離・同定
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14360031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 栄一 九州大学, 農学研究院, 教授 (00108672)
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Keywords | 幼若ホルモン / 早熟変態 / 2-メチルピリジン |
Research Abstract |
幼若ホルモン(JH)拮抗阻害物質の合成探索として、現在までのところ唯一、JH拮抗阻害作用が報告されている。ethyl 4-[2-tert-butylcarbonyloxy]butoxy]benzoate (ETB)の構造を基に分子設計を行い、ETBより強い活性を示す2-(3-chlorophenoxy)ethyl 6-methyl-3-pyridyl ether (KIH-87)を得た。KIH-87はカイコ幼虫に対しJH欠乏症である早熟変態ならびに表皮の黒色化(メラニズム)を誘導し、その活性はメソプレン(JHアゴニスト)によって完全に打ち消された。また、ETBは低薬量でのみ早熟変態を誘導するのに対し、KIH-87は薬量依存的な活性を示した。次に、KIH-87をリード化合物として、構造と早熟変態誘導活性との関係を検討した結果、以下のことを明らかにした。(1)2-methylpyridineは活性発現に重要で、無置換3-ピリジル基や種々の置換ピリジル基に変換すると活性は消失する。2-methylpyridineの他、4-methylimidazole及び5-methyl-isoxazoleでも活性を示す。(2)酸素原子間は炭素数2個の場合のみに活性があり、炭素数を増やすと活性は消失する。(3)ベンゼン環上の3位の塩素をフッ素、臭素、トリフルオロメチル、メチル基等に変えると活性は低下する。結局、ETBの2-tert-butylcarbony基を2-methylpyridineに変換した5-[2-(4-ethoxycarbonylphenoxy)-1-ethylethoxy]-2-methylpyridine (EMP)が最も強い早熟変態誘導活性を示すことを見いだした。EMPにより誘導される早熟変態は20-ヒロドキシエクダイソンでは影響を受けず、メソプレンで完全に打ち消された。リガンドブロッティング法によりEMPの作用部位を検索するため、EMPのカルボキシル基に炭素数8個のスペーサーを導入し、これを活性エステル法により西洋ワサビのペルオキシダーゼと結合させたものを調製した。
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Research Products
(1 results)