2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫幼若ホルモン(JH)拮抗阻害物質の創製とJHレセプターの単離・同定
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14360031
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
桑野 栄一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00108672)
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Keywords | 坑幼若ホルモン / 早熟変態 / 幼若ホルモンエステラーゼ |
Research Abstract |
抗幼若ホルモン活性物質として新たに見いだしたethyl 4-[4-methyl-2-(6-methyl-3-pyridyl-oxy)pentyloxy]benzoate(1),ethyl 4-[2-(6-methyl-3-pyridyloxy)hexyloxy]benzoate(2)及びethyl 4-(2-phenoxyhexyloxy)benzoate(3)は、3齢初期に投与した場合、4齢で強く早熟変態を誘導した。しかし、4齢起蚕に処理した場合、低薬量でのみ弱い早熟変態誘起活性を示し、高薬量では全く活性を示さないという特性を有していた。化合物(2)と(3)のエステル部位をそれぞれカルボン酸に変換した4-[2-(6-methyl-3-pyridyloxy)hexyloxy]benzoic acidと4-(2-phenoxy-hexyloxy)benzoic acidが、局所施用ならびに摂食法で全く活性を示さなかったことから、これらの活性本体はエステルそのものであることが推定された。 幼若ホルモンエステラーゼ(JHE)は終齢幼虫期のみに分泌され変態誘導に重要な役割を果たしていることが知られている。化合物(1)とJHE誘導との関係について検討した。JHEタンパク質をWestern blot法により検出した結果、コントロール4齢では全く検出されないJHEタンパク質が、化合物(1)を3齢に処理した後の4齢に顕著に分泌されていることが判明した。また、代替基質としてS-methyl heptylthioethanethioateを使用して、体液中のJHE活性を測定したところ、脱皮直後の4齢幼虫においてすでにJHEの活性が発現しており、その活性は4齢期間中認められた。このJHEの活性発現パターンはコントロール終齢幼虫のそれと同様であり、化合物(1)の抗JH活性により変態が誘導されたことを示唆した。以上本研究において、従来にない全く新しい骨格を有する抗幼若ホルモン活性物質を見いだすことができた。
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Research Products
(2 results)