2004 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル情報化技術を利用した蚕糸技術継承システムに関する研究
Project/Area Number |
14360034
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三浦 幹彦 信州大学, 繊維学部, 教授 (60135168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10230103)
西岡 孝彦 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10164542)
高橋 進 信州短期大学, 助教授 (80249200)
清水 重人 (財)大日本蚕糸会, 蚕糸科学研究所, 研究員
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Keywords | 蚕糸技術 / 結城紬 / 機織り / 糸紡ぎ / モーションキャプチャシステム / 統計的解析 / 主成分分析 / 技術習得ソフトウェア |
Research Abstract |
蚕糸技術の保存継承システムを構築するために,手仕事の要素が大きい「結城紬」を具体的な技術対象として検討を進めている。これまで,作業者と道具の動きをモーションキャプチャシステムを用いてデータ採取し,動作特性の解析を行ってきた。本年度は,以下の2点について研究を進めた。 (1)動作解析システムの作成:作業者や道具の動きを多面的に解析するためのツールが必要となった。そこで採取したモーションデータを元に,作業者や地機などの動きを3次元コンピュータグラフィックスによってディスプレイ上に再現し,さらに身体上の任意の位置や部位の動作特性,部位間の相関関係等を解析できるシステムを作成した。システム開発はWindows OSやLinux OS上で動作可能なDelphiを用い,さらにモーションデータの3次元グラフィックス表示のためにOpenGLを用いた。また解析の容易さと多面的な分析を進められるように,モーション画面,解析画面等をマルチウィンドウで同時に表示できるようにした。本システムにより,身体各部の個別の動作解析や特定の部位間の関係性把握が可能となった。 (2)EOG(眼球電位計測)を用いた作業者の視線獲得:伝統技術における作業は,単に身体の動作のみで行われるわけではなく,状況を常に把握し製作物の品質を確認しながら作業を進めているため,「認知」-「判断」-「動作」の関係を捉えることが重要である。このため,作業時における作業者の視線動向の解析を目的として,EOG(眼球電位計測)を用いた視線の獲得を試みた。EOGによって得られる眼球表面と裏面の電位差から,眼球の上下・左右方向への経時的な動きを捉えることが可能と考えた。この方法の妥当性を検証するため,数人の被験者によって眼球運動とEOGデータとの関係を解析し,キャリブレーション方法の最適化を行った。さらに本方法によって得られた眼球の向きから,3次元コンピュータグラフィックスによって視線ベクトルを算出する方法を構築した。本解析方法を用いることにより,作業者の動作や工程の進度によって変化する視線動向を明らかにすることができ,今後,作業者の意識や技術上のポイントを抽出して行くことが可能になるものと考える。
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Research Products
(4 results)