2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学とQTL解析手法を用いたイネにおける窒素リサイクル機構の分子基盤
Project/Area Number |
14360035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 知行 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30144778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雅志 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (40134043)
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Keywords | イネ / QTL解析 / 窒素転流 / 準同質遺伝子系統群 / 穂重量 / 分げつ / グルタミン合成酵素 / DNAマーカー |
Research Abstract |
窒素リサイクルは、イネの生産性に直結する重要な機構である。この機構で鍵を握る、老化葉身のGS1と若い器官のNADH-GOGATに着目し、それぞれの量を決定している複数のQTLを染色体上にマッピングした。本年度は、GS1のQTLと穂重量や穂数など農業形質のQTLが重複して検出された第2染色体に着目し、コシヒカリを遺伝背景として、これらのQTL領域約50cMのみがインド型品種カサラスに置換された準同質遺伝子系統群(NIL: C22)を作出するとともに、遺伝子単離を目指すためのDNAマーカーを設定した。 C-22およびコシヒカリを、施肥窒素条件を変化させたガラス室および水田で栽培し、遺伝効果の検証を行った。その結果、C-22は、成育の初期における分げつ数が多く、穂数および個体あたりの穂重量が最大で約1.3倍と大きくなっていた。一方、C-22の主稈の穂重量は小さい傾向にあり、最大でコシヒカリの85%まで減少していた。C-22における個体あたりの穂重量の増加は、分げつの増加によることが示唆された。 次に、詳細な連鎖解析に必須である15個のDNAマーカーを新たに作製し、詳細な遺伝地図を作製した。原因遺伝子座を特定するために組み換え体の選抜をすすめ、検出されたQTLを含む約50cMの染色体領域のみが分離している集団(C系統)の自殖後代4191個体より、マーカーC777とC10005の領域間での組み換え体283系統を選抜し、DNAマーカーを用いて遺伝子型を決定した。これらの組み換え体について、ガラス室および水田での栽培を行い、連鎖解析を行った結果、C777の近傍に(1)一穂重量、さらに、C10005を含む領域に(2)分げつ数および穂数を規定している原因遺伝子の存在を示すLOD値のピークが検出された。以上の結果より、この領域には、前述した2つの原因遺伝子座が存在することが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Suenaga, A. et al.: "Constitutive expression of a novel-type ammonium transporter OsAMT2 in rice plants"Plant and Cell Physiology. (in press). (2003)
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[Publications] Hayakawa, T. et al.: "Organization and structure of ferredoxin-dependent glutamate synthase gene from rice plants"Plant Biotechnology. (in press). (2003)
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[Publications] Ishiyama, K. et al.: "Cell-type distinct accumulation of mRNA and protein for NADH-glutamate synthase in rice roots in response to the supply of NH^+_4"Plant Physiology and Biochemistry. (in press). (2003)
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[Publications] Ishikawa, R. et al.: "Genetic resources of Primitive upland rice in Laos"Economic Botany. 56. 192-197 (2002)
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[Publications] Yamaya, T., Oaks, A.: "Plant Ecophysiology Series"Kluwer Academic Publishers (in press). (2003)