2004 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける個葉の光合成能力の改善と個体バイオマスの向上をめざして
Project/Area Number |
14360036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 周 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70181617)
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Keywords | 光合成 / イネ / Oryza sativa L / Rubisco / ガス交換 / 炭酸固定 / 形質転換体 / 電子伝達系 |
Research Abstract |
イネにおけるポテンシャルとしての光合成能力の増強を試みた。昨年度までに、炭酸固定能力の決定因子である光合成の炭酸固定酵素Rubiscoについて、タンパク質量の増強が認められたSense-rbcSイネと量的減少が認められたAnti-rbcSイネの作成に成功したので、今年度ではRubisco増減に対する炭酸固定化率の向上の割合について定量的な関係を調べた。また、Rubisco量を減少させたAnti-rbcSイネを用いて葉内におけるRubiscoの分解の機作についても調べた。 当代でRubisco含量の増加が認められたSense-rbcSイネの2系について次世代(T1)のRubisco含量を調べたところ、wild-typeイネに対して195%までの増加が認められる系統が得られた。それらの次々世代(T2)の光合成解析を行った。葉内CO_2分圧変化に対する光合成速度の応答について調べた。その結果、Anti-rbcSイネではすべての個体において低CO_2領域での光合成速度の低下が観測されたのに対し、Sense-rbcSイネでは限られた個体のみであったが低CO_2領域で高い光合成速度を示した。次に、Rubisco含量の増加が認められたSense-rbcSイネについて、葉内CO_2分圧が20Paと100Paの光合成速度とRubisco含量の関係を調べたところ、多くの個体においてRubiscoの増強が光合成速度の増強に結びついていないのが確認された。しかし、一部の個体のみが20Paで光合成速度の増加が認められた。 Anti-rbcSイネ(wild-typeの40%Rubisco含量を持つ)については、wild-typeイネとの葉位別のRubisco含量とChl含量の変化について調べた。Chl含量には両genotypeで差が認められないのに対し、Rubisco含量ではAnti-rbcSイネの下位葉で相対的に高く維持されていた。rbcS mRNAは下位葉ではほとんど検出されなかったことから、分解が特異的に抑制されていることが示唆された。このように、Rubiscoに特異的な分解機構があることが示された。
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Research Products
(3 results)