2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14360040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 彰 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (50231098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 新太 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 教授 (60185808)
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Keywords | 土壌有機窒素 / 腐植酸 / 窒素安定同位対比 / X線光電子分光法 / 土壌バイオマス / ^<15>N-NMR |
Research Abstract |
施肥Nの土壌中における形態変化を明らかにするために、^<15>N標識尿素を土壌に添加培養し、2週間、3ヶ月および6ヶ月後に、施肥Nの土壌バイオマス、腐植酸、フルボ酸、ヒューミンへの取り込みを調べた。各腐植画分への土壌バイオマスの影響を排除するために、別途、細菌、糸状菌Nの腐植分画時における挙動を明らかにし、両者の存在比を考慮して、補正を行った。6ヶ月間で、土壌バイオマスへの分配は14%から9.7%に減少し、一方、フルボ酸への分配が40%から48%へと増大した。腐植酸への分配も9.8%から4.0%へと減少し、短期間でも分解される構造を含むことが示唆された。これに関連して、^<15>N CPMAS NMRの解析結果から、ペプチド/アミドNが88%から82%へと減少したことが明らかとなった。 名大付属農場化肥区土壌において、圃場開設時(1987)からの年数と全土壌有機物および腐植酸のδ^<15>Nとの間に、高い負の相関関係(r=0.95^<***>および0.99^<***>)がそれぞれ成立することを見出した。土壌への施肥Nの年蓄積率の推定値8.8%は、^<15>N肥料を用いた文献値の範囲内であり、トレーサーを用いなくてもδ^<15>Nから推定が可能であることを示唆した。しかしながら、同様の関係を愛知県豊橋農業技術センター内圃場で見出すことができず、隣接した厩肥区からの混入等、原因について検討中である。 また、X線光分子分光法(XPS)による腐植酸のN官能基組成の分析を試みた。各種低分子化合物の測定結果より、腐植酸中のN官能基をピリジン、プリン、イミンおよびアニリン誘導体、ペプチド/アミドおよびピロール、第1アミンおよびアミノカチオンの3グループに分別、定量できることを見出した。各グループの存在率が5%未満であっても定量性には問題がなく、腐植酸の分析において±1ポイントの高い再現性が得られることを確認した。
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Research Products
(1 results)