2003 Fiscal Year Annual Research Report
触媒アミノ酸の変異により新しい機能を獲得したグリコシラーゼの研究
Project/Area Number |
14360043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 淳夫 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90186312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 正幸 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00344490)
森 春英 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80241363)
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Keywords | 糖転移 / グリコシダーゼ / 合成酵素 |
Research Abstract |
グリコシラーゼは糖質のグリコシド結合を加水分解する酵素の総称である。これらの酵素は加水分解の他に、基質のグリコシド残基をアクセプターに転移する反応(糖転移反応)を示す。転移反応は応用性が高く、i)清涼飲料水などの食品に含まれる機能性オリゴ糖の土産や ii)多彩な生理活性をもつ複合糖鎖の合成に利用されている。しかし、加水分解と糖転移反応は切り離すことはできず、同時に進行する。従って、転移糖の生成条件であっても基質の加水分解が行われ、かつ、転移反応の生成物も分解されてしまう。我々は、グリコシラーゼの構造と機能を解析してきた。この研究過程で糖転移反応のみを抽出できる現象を見出した。本課題の目的は、本現象の機構を分子解析し応用に結びつけることである。本年度の成果を以下に示す。 1)標的とする種々のグリコシラーゼについて、遺伝子のクローニングと発現、点置換酵素の作製・精製(His_6結合法を採用)を精力的に行っている。作製に成功した合成酵素については、3項で示す反応解析実験に供している。2)昨年度確立した合成法に従いフルオライド基質を大量に合成した。現在、様々なグリコンのフルオライド基質の合成法を検討中である。3)得られた合成酵素は、いずれも分解活性を示さず、合成反応のみを行う。合成の至適pHはアルカリ側へシフトし、本現象は一般的に観察された。アクセプター特異性を調べたところ、アリールなどの疎水基を有する合成配糖体が最も高い収率を与えた。これは、サブサイト+2による疎水グループへの認識能が高いことを意味している。4)昨年度、作製・精製・性質解析に成功した「歪み発生のアミノ酸変異酵素」を用いたオリゴ糖合成試験を行った。収率が低いことが判明したので、高収率化を目指し、反応条件や酵素の大量調製を行っている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.S.Mar: "Characterization, and Sequence Analysis of Two a-Amylase Isoforms from Azuki Bean, Vigna angularis, Showing Different Affinity towards β-Cyclodextrin"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 67・5. 1080-1093 (2003)
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[Publications] T.Naraoka: "Purification, Characterization and Molecular Cloning of Tyrosinase from the Cephalopod mollusc, Illex argentiinus"Eur.J.Biochem.. 270・19. 4026-4038 (2003)
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[Publications] 奥山正幸: "α-Glucosidase変異酵素がα-Glycosynthase反応を触媒する"農化. 77・11. 1140-1141 (2003)
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[Publications] J.Wongchawalit: "Purification and Properties of α-Glucosidase II from Japanese Honeybee, Apis cerna japonica"J.Appl.Glycosci.. 50・2. 297-298 (2003)
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[Publications] X.Gao: "Inhibitory effect of salicyihydroxamic acid on theobroxide-induced potato tuber formation"Plant Sci.. 165・5. 993-999 (2003)
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[Publications] B.Svensson: "Impact on Substrate Specificity of Mutational Subsite Isozyme Mimicry in Barley α-Amylase"J.Appl.Glycosci.. 50・2. 143-145 (2003)
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[Publications] C.Finnie: "Barley Proteome Analysis, Starch Degrading Enzymes and Proteinaceous Inhibitors"J.Appl.Glycosci.. 50・2. 277-282 (2003)
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[Publications] 奥山正幸: "加水分解反応を失ったグリコシダーゼがオリゴ糖合成を触媒する"化学と生物. 41・7. 422-425 (2003)