2003 Fiscal Year Annual Research Report
加速進化型ガレクチンの糖鎖精密認識機能の解明と生命工学への応用
Project/Area Number |
14360045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 智久 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (80240901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 剛 生物分子工学研究所, 情報解析研究部門, 主任研究員 (00262890)
西田 芳弘 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80183896)
村本 光二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90157800)
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Keywords | ガレクチン / レクチン / 糖鎖 / グライコーム / アポトーシス / T細胞 / 加速進化 |
Research Abstract |
マアナゴ体表由来の2種のガレクチン、Congerin IおよびII(Con IおよびII)の加速進化がみられた糖鎖認識部位の構造と認識機構の詳細な相関を明らかにし、精密な糖鎖認識能をもつガレクチンを開発することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続きCon IとCon IIの加速進化がみられたアミノ酸残基を相互に置換した変異体を作成し、ピリジルアミノ(PA)化蛍光標識した各種糖鎖との相互作用の解析を行った。調製予定の39種類のうち28種類の調製を終了し、そのうち21種類の変異体については各種PA化糖鎖(34種)に対しての解離定数Kd値を求めた。 (S50N)Con IIおよび(E74Q)Con IIでは、共通の糖鎖構造(Galβ1-3GalNAc-)をもつGA1、GM1、GD1b、LNTなどの糖鎖への結合能が顕著に増加していた。またこれらの糖鎖はおり、変異によってこの構造への結合能が増大したことが明らかになった。また(T72Q)Con IIおよび(T107N)Con IIでは、ある糖脂質糖鎖に対する結合能が増強していた。今後は、これら共通の糖鎖認識の傾向をもった変異を統合した形で変異体のデザインを行い、より強い特異性をもつ変異体の開発をめざす。 一方、コンジェリンIおよびIIの各種培養細胞にたいする影響を調べたところ、Jurkat細胞などヒトT細胞に特異的なアポトーシスを起こすことをあきらかにした。さらに、興味深いことにヒトガレクチン1よりも約1000倍つよくアポトーシスを誘導した。このアポトーシス能は、コンジェリンの糖鎖認識能によることがあきらかになった。この違いについて明らかにするためにコンジェリンと特異的に相互作用するT細胞膜タンパク質を解析し、コンジェリンの強いアポトーシス誘導能に関わる膜タンパク質を同定した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 白井剛, 塩生-光山クララ, 小川智久: "加速進化による蛋白質機能・構造の変化 魚類ガレクチンを例にして"蛋白質核酸酵素. 48. 1913-1919 (2003)
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[Publications] Chijiwa, T., Hamai, S., Tsumouchi, S., Ogawa, T., Deshimaru et al.: "Interisland mutation of a novel phospholipase A_2 from Trimeresurus flavovirisdis venom and evolution of crotalinae group II phospholipase A_2"Journal of Molecular Evolution. 57. 546-554 (2003)
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[Publications] Chijiwa, T., Yamaguchi, Y., Ogawa, T., Deshimaru et al.: "Interisland evolution of Trimeresurus flavovirisdis venom phospholipase A_2 isozyme"Journal of Molecular Evolution. 56. 286-293 (2003)
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[Publications] Ogawa, T., Yonemaru, S., Naganuma, T., Hirabayashi, J., Kasai, K., Muramoto, K.: "Strong Induction of Apoptosis of T Cell Lines by Conger Eel Galactins"Biomolecular Chemistry -A Bridge for the Future-. 134-137 (2003)
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[Publications] Ogawa, T., Shirai, T., Shionyu-Mitsuyama, C., Yamane, T., Kamiya, H., Muramoto, K.: "The speciation of conger eel galectins by rapid adaptive evolution"Glycoconjugate Journal. 19. 451-458 (2004)
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[Publications] Yoshimi, K., Shoji, M., Ogawa T., Yamauchi, A., Naganuma, T., Muramoto, K., Han: "Microstructure and Orientation Distribution of Aragonite Crystals in Nacreous Laver of Pearl Shells"Material Trans.. (In press).
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[Publications] Ohno, M., Ogawa, T., Oda-Ueda, N., Chijiwa, T., Hattori, S.: ""Accelerated evolution of snake venom gland isozyme", In Perspectives in Molecular Toxinology"John Wiley & Sons, Ed by A.Menez. 14 (2003)