酵素リアーゼの共通機能を規定する非共通アミノ酸配列の生物学的意義

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14360052
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 村田 幸作 京都大学, 農学研究科, 教授 (90142299)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519) ; 三上 文三 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40135611)
• Keywords: Sphingomonas / Bacillus / アルギン酸リアーゼ / 多糖リアーゼ / 翻訳後修飾 / X線結晶構造 / オートプロセシング / タンパク質・遺伝子の進化

Research Abstract

アルギン酸、キサンタン、ジェラン、ヒアルロン酸など細菌が生産するヘテロウロン酸多糖に作用する酵素:多糖リアーゼは、分子上に散在するウロン酸(マンヌロン酸、グルロン酸)を厳密に認識し、β脱離反応により多糖を切断する共通反応機構を有している。また、多糖リアーゼは、前駆体タンパク質の自己プロセッシングを含む共通の成熟化過程を経て生成する。このような多糖リアーゼに共通した反応と生合成の特性を理解するためには、多糖リアーゼの高次構造と機能との相関に関する理解が必要である。平成15年度は、Shingomonas sp. A1のアルギン酸リアーゼA1-III、Bacillus sp. GL1のキサンタンリアーゼXLの高次構造を決定し、構造と機能の相関を明らかにした。平成15年度は、A1株のアルギン酸リアーゼA1-IIとPseudomonas aeruginosaのアルギン酸リアーゼPA1167の2種類のX線結晶構造を決定した。その結果、昨年度の結果も合わせて、これらの多糖リアーゼが、一次構造を完全に異にするにも拘わらず同じ反応を触媒し、厳密にウロン酸残基を認識する分子機構をほぼ明らかにした。また、A1-IIIの分子運動と触媒機構との相関を解析し、ヒンジ部位の構造も推定した。多糖リアーゼは、一次構造に基づいて13のファミリーに分類されているが、多くの多糖リアーゼの高次構造を決定したことにより、多糖リアーゼは構造に基づいて4種類(順平行βシート構造、逆平行βシート構造、α/αバレル構造、α/αバレル構造+逆平行βシート構造)に分類されることを明らかにし、多糖リアーゼの高次構造に基づく新規な分類法を確立した。また、多糖リアーゼ反応産物に作用するBacillus sp. GLの不飽和グルクロニルヒドロラーゼのX線結晶構造も決定し、アルギン酸リアーゼ、セルラーゼ、エピメラーゼ、ヒドロラーゼがα/αバレルを基本骨格とする共通の祖先タンパク質からの進化した形跡を明らかにした。現在、各多糖リアーゼのホロ型の高次構造を決定中であり、科学研究費交付期間内に本研究課題の目標を達成するに十分な余裕を生み出した。

Research Products

• [Publications] Osamu Miyake: "Origin and diversity of bacterial alginate lyases of families PL-5 and -7 in Sphingomonas sp. strain A1"Journal of Bacteriology. (印刷中). (2004)
• [Publications] Masayuki Yamasaki: "Crystallization and preliminary X-ray analysis of alginate lyase, a member of polysaccharide lyase family PL-7, from Pseudomonas aeruginosa"Acta Crystallographica setion D. 59. 1499-1501 (2003)
• [Publications] Yumiko Mishima: "Crystal structure of AlgQ2,a macromolecule (alginate)-binding protein of Sphingomonas sp. A1, complexed with an alginate tetrasaccharide at 1.6-A resolution"Journal of Biological Chemistry. 278(8). 6552-6559 (2003)
• [Publications] Wataru Hashimoto: "Crystal structure of Bacillus sp. GL1 xanthan lyase, which acts on the side chains of xanthan"Journal of Biological Chemistry. 278(9). 7663-7673 (2003)
• [Publications] Osamu Miyake: "An exotype alginate lyase in Sphingomonas sp. A1 : overexpression in Escherichiacoli, purification, and characterization of alginate lyase IV(A1-IV)"Protein Expression and Purification. 29(1). 33-41 (2003)