2003 Fiscal Year Annual Research Report
食事性ポリフェノールの体内輸送と生体酸化制御の分子機構の解明
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14360068
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
五十嵐 喜治 山形大学, 農学部, 教授 (00111336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 麻子 明治大学, 農学部, 助教授 (40231401)
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Keywords | アントシアニン / 糖尿病 / 生体過酸化 / 体内吸収 / 8-ヒドロキシデオキシグアノシン / ボイズンベリー / アントシアニングルコシド / アシル化アントシアニン |
Research Abstract |
アントシアニンの生体過酸化防御と、その体内吸収について、とくにボイズンベリーアントシアニンを用いて検討した。ストレプトゾトシンで誘発した糖尿病ラットにボイズンベリーから調製したアントシアニンを0.1%の割合で添加した飼料を28日間給与したところ、糖尿病ラットで増加した血漿中チオバルビツール酸反応生成物(TBARS)量、肝臓中8-ヒドロキシデオキシグアノシン/デオキシグアノシン比、肝臓中酸化型グルタチオン/還元型グルタチオン比が低く維持される傾向にあった。また、ボイズンベリーアントシアニンを給与したラットから調製した肝臓ホモジネートは、未給与群のもの比べ、2,2'-アゾビス(アミノプロパン)による酸化に対して強い抵抗性を示した。 一方、アントシアニンを一夜、絶食したラットに経口投与し、30分後、血液と肝臓を採取し。そのアントシアニン存在について検討したところ、ボイズンベリーアントシアニンを形成する主要アントシアニンのシアニジン3-0-グルコシド、シアニジン3-0-ジグルコシド。シアニジン3-0-グルコシルルチノシドのいずれもが血中、肝臓に見い出された。これらの結果から、ボイズンベリーアントシアニンはいずれも、腸管腔から、未変化の形で吸収され、未変化のまま、あるいは肝臓で代謝・分解などを受けた形で体内に局在し、抗酸化的に作用していることが示唆された。また、シアジジン3-0-ジグルコシド、シニジン3-0-グルコシドはシアニジン3-0-グルコシルルチノシドに比べて、体内への移行量が多い傾向を示し、アントシアニジンに結合する糖はグルコース分子のみから構成されている方が移行されやすい可能性を示した。 アシル化アントシアニンを経口投与したラットの血漿には投与したアントシアニンとそのアシル基部分が確認され、アシル化アントシアニンは未修飾の形で吸収・移行する他、一部は体内で分解を受け、アシル基部分が体内を移行する経路のあることが推察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugimoto, E., Igarashi, K., Kubo, K., Molyneux, J., et al.: "Protective effects of boysenberry anthocyanins on oxidative stress in diabetic rats"Food Sci.Technol.Res.. 9(4). 345-349 (2003)
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[Publications] 五十嵐 喜治: "食品素材としてのアントシアニンの新しい機能"NEW FOOD INDUSTRY. 45(5). 33-40 (2003)