2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14360073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 幹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20144131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
灘野 大太 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00228074)
青木 直人 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40242846)
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教授 (10343211)
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Keywords | 難消化性 / 腸管吸収 / 血中動態 / 卵アルブミン / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
セリンプロテアーゼインヒビターであるセルピンと同族の卵アルブミン(OVA)は、未変性では難消化性であり卵アレルギーの主要アレルゲンとして知られている。このOVAをモデルタンパク質として、マウス消化管内から未消化のままで体内に吸収される現象について、末梢血中で検出されたOVAの生化学的性質をSDS-PAGEおよび等電点電気泳動法を用いて解析した。10mgをマウスの胃内に投与した後、30分後に、静脈より全先血し、血液を凝固させた後、血清を調製した。ウサギ抗OVA抗体(IgG)をセファロースに固定化した固相抗体を用いて免疫沈降法により、マウス末梢血に含まれるOVAおよびその誘導体を沈降させ濃縮した。これをSDS-PAGEおよび免疫ブロット法により解析した結果、未分解のOVAと同じ位置に明確なバンドが検出され、また、分子量が僅かに小さい位置にも弱いバンドが検出された。しかし、消化管内容物中には検出された分子量1-3万のOVA分解断片はまったく検出されなかった。同様の結果は、ゲル濾過クロマトグラフィーによる血清中のOVAの分子量分布の解析からも得られた。この結果から、腸管内から体内へのOVA抗原の移行は、単純な拡散によるものではなく、未分解あるいは未変性の分子が優先的に取り込まれる未知の機構が存在する可能性が示唆された。また、等電点電気泳動により、OVAは同一分子量の3-5個のスポットとして検出されるが、末梢血中から回収されたOVAでは、塩基性側のスポットがより強く検出され、等電点がやや塩基性にシフトしていることが明らかとなった。このような生化学的変化は、OVAをマウス血清と反応させただけでは観察されなかった。これらの結果から、タンパク質が腸管内から吸収されて末梢血に移行する過程で、おそらく腸上皮を通過する過程で、何らかの修飾を受ける可能性が考えられる。
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Research Products
(4 results)