2003 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノテンプレートで構造制御する植物細胞からのカロースシートの構築
Project/Area Number |
14360101
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 哲男 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (30202071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸井田 敏彦 千葉大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60163945)
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Keywords | プロトプラスト / カロース繊維 / 繊維構造 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
植物体におけるCa^<2+>の二次代謝(細胞壁形成)への影響を調べたところ、従来からの研究で用いられた添加量よりはるかに多量のCa^<2+>イオン添加条件下で、プロトプラストがカロース繊維を生産し始めることを発見した。これは、一種の低エネルギー型の高分子構造材料生産システムとして考えられるため、まず現象そのものの解明し、そしてそれを用いた新規材料創製へと二つの観点から同時に検討することを目的としている。 第一に、プロトプラストが生産するカロース繊維はこれまでに無い大きさであることから、繊維がどのような構造を有しているのかを解析することである。カロース繊維の構造を観察するため、樹脂包埋した後に超薄切片を作成し、電子顕微鏡により観察した。さらに、カロース抗体を用いた免疫染色により、繊維構造中のカロースの存在状態を確認した。その結果、繊維構造は、中が空洞の中空糸構造をとっていることが明らかとなり、さらなる検討を始めている。 第二に、その巨大繊維を解繊し、一定のサイズのエレメントにして、それらエレメントを一方向に配列させて、独特の表面構造を有するシートの構築にとりかかった。そのエレメントを配列させるための基板には、実施者らが開発した非結晶性で分子配向しているユニークな表面構造をしており、他の分子の配列を誘導する機能を有するネマチックオーダーセルロースを用いている。また、解繊方法により、種々のサイズのエレメントが得られることがわかってきており、同じ生理活性のあるカロース分子からなっていても、その配列形態、サイズを変えた新たな高次構造を表面に有するシートの構築が期待できる。
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