2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規に開発された卵黄玉培養系による塩類細胞のイオン輸送機能とその分化過程の解明
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14360106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 豊二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70221190)
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Keywords | 浸透圧調節 / 塩類細胞 / 鰓 / アクアポリン / 卵黄嚢上皮 / 水銀 / 浸透圧変化感知機構 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
硬骨魚類において鰓は呼吸器官としてだけでなく浸透圧調節器官としても重要な役割を担っているが,発育初期の魚では卵黄嚢上皮が呼吸・浸透圧調節器官として機能している。本研究では、広塩性魚であるティラピアを用い、鰓において発現している水チャネル分子、アクアポリン(AQP)を同定し、その淡水および海水飼育下での発現と局在を調べることにより水チャネルの果たす役割を解明することとした。cDNAクローニングによりティラピアAQP3cDNAの塩基配列を得た。この演繹アミノ酸配列は他生物種AQP3と非常に高い相同性を示し、AQPファミリー共通の構造的特徴を保持することが推測された。RT-PCRにより、淡水および海水飼育下で脳、下垂体、腎臓、脾臓、腸、眼、皮膚および鰓において発現が確認された。またノーザンブロット解析の結果、鰓においては淡水飼育下でのAQP3mRNA発現量が海水飼育下と比較して高いことが確認された。AQP3の機能解析を行なった結果、ティラピアAQP3は機能的な水チャネルであり、水銀によりその機能が阻害されることが明らかとなった。次にAQP3に特異的な抗体を作成し、淡水および海水飼育ティラピアの鰓について免疫組織化学を行なった。この結果、AQP3は淡水、海水両方において塩類細胞の側底膜に局在していることが明らかとなった。また卵黄嚢上皮の塩類細胞にも鰓と同様にAQP3が発現していることが確認された.塩類細胞は鰓や卵黄嚢上皮における浸透圧調節を司る細泡であることからAQP3の浸透圧調節機構への関与が強く示唆された。局在から細胞内液と体液との間での水移動にAQP3が関わっていることが考えられ、塩類細胞におけ浸透圧変化感知機構への関与が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Hatching enzymes in Japanese eel Anguilla japonica2004
Author(s)
Hiroi, J., Maruyama, K., Kawazu, K., Kaneko, T., Ohtani-Kaneko, R., Yasumasu.S.
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Journal Title
Dev.Genes.Evol. 214
Pages: 176-184
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[Journal Article] Identification of the growth hormone receptor in an advanced teleost, the tilapia(Oreochromis mossambicus) with special reference to its distinct expression pattern in the ovary2004
Author(s)
Kajimura, S., Kawaguchi, N., Kaneko, T., Hirano, T., Grau, E.G., Aida, K.
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Journal Title
J.Endocrinol. 181
Pages: 65-76