2002 Fiscal Year Annual Research Report
多様な循環システムの統合による循環型社会適応型農業モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
14360126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 房雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30221774)
南條 正巳 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60218071)
両角 和夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30312622)
大村 道明 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312626)
冬木 勝仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00229105)
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Keywords | 土壌・生態循環 / 環境保全型農業 / 熱回収システム / LCA分析 / 経営内循環 / コミュニティ循環 / ビジネス循環 / 政策支援システム |
Research Abstract |
研究初年度の本年は、主に多様な循環システムの構築に取り組む国内外の先進的事例を対象に現地調査を行い、技術的および経営経済学的視点から検討を試みた。 その結果、例えば技術的視点からの検討では、無農薬・無化学肥料ないしは有機栽培を実施している稲作農家(東北)の分析から、イネの生育に必要な量だけ完熟堆肥を投入することで、害虫を防除し域内の窒素循環が可能となることが明らかになった。また既往研究をもとにわが国の土壌特性の変化を検討した分析からは、リン酸の集積が水田では微増に止まっているのに対して普通畑や樹園地では大きく増加する傾向にあることが明らかになった。 一方、資源の経営内循環、コミュニティ循環、ビジネス循環に取り組む先進事例の経営経済学的検討からは、以下の点が明らかになった。はじめに循環型多品目露地野菜生産に取り組む(有)月山パイロットファームでは、独自の輪作体系と雑草防除体系を確立して経営内循環を図ると共に、域内畜産農家の堆肥を用いて地力維持に努めるなどコミュニティ循環も行われており、今後の東北地域における循環型農業のビジネスモデルになりうることが明らかになった。次に、JAを中核としたブロックローテーション転作(米・麦・大豆の2年3作体系)に取り組む宮城県桃生町では、今後の輪作体系として域内耕畜農家の連携による土づくりを確立して行こうとする担い手集団が現れ始めていた。このような資源のコミュニティ循環およびビジネス循環を確立していくためには、個々の農家や農業経営体の取り組みだけでは限界があり、地域資源のマネジメント主体としてJAや市町村の関与が不可欠である。この点において、地域複合営農方式に取り組む長野県飯島町や、環境保全型土づくりをもとにした減農薬・減化学肥料米の生産・販売を展開する新潟県JA越路さんとうの取り組み内容は、循環型農業を確立していく上で十分に参考になることが明らかになった。
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