2004 Fiscal Year Annual Research Report
多様な循環システムの統合による循環型社会適応型農業モデルの構築に関する研究
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14360126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 正彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10005655)
松田 一寛 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00005662)
両角 和夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30312622)
南條 正巳 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60218071)
中井 裕 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80155655)
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Keywords | 土壌・生態循環 / 環境保全微生物 / 生物多様性 / LCA分析 / 動脈・静脈循環システム / ビジネス循環 / 最大効率最小汚染農業 / 政策支援システム |
Research Abstract |
最終年度は、これまでの研究を一層推進し、多様な循環システムの構築に取り組む先進的事例を対象とした現地調査や既往研究(調査データベースを含む)の再検討を行い、循環型社会適応型農業モデルの構築に必要な条件と政策支援のあり方を考察した。 その結果、技術観点からは、1)わが国の水田に地力低下は認められないものの、有機質資材の使用にあたっては土壌診断の結果に基づき、腐食度が高く、C/N比の低い、重金属等を含まない資材を施与することが重要であること、2)有機物循環を基本としながら先端技術である肥効調節型肥料や遺伝子組み換え植物を用いた最大効率最小汚染農業の実践が生物多様性に富む自然生態系の保全に貢献すること、4)生物多様性を備えた水田生態系の修復は、水田のみならず池や用水(川)など周辺環境の修復がセットになった時に可能となること、5)家畜糞尿処理システムの開発・改良にPCR-変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法が有効であること、等々が明らかにされた。 一方、バイオガスプラントを設置した200頭規模の酪農経営を対象としたLCA分析からは、6)農地への窒素投入量をEU硝酸塩指令と同等と仮定した場合、約80haの飼料作物を栽培することで資料の自給と家畜糞尿の循環が自己完結的に可能となること、7)ドイツのような混合発酵方式の導入によりメタンガスの発生量を約22%増加できれば、化石エネルギーに依存しない持続可能な循環型農業が実現できることが明らかになった。8)また循環型社会を形成していく上で、現行の農業環境三法(いわゆる「家畜排せつ物法」「肥料取締法」「食品リサイクル法」)は体系的整合性を欠いており、「循環型社会形成推進基本法」に合致する基本的枠組法を早急に整備する必要があることなども明らかになった。 一連の研究成果は最終報告書として取りまとめられた。
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Research Products
(7 results)