Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 敏夫 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (90233212)
橋本 卓爾 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90279399)
安部 新一 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30326730)
細川 允史 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70295898)
小野 雅之 山形大学, 農学部, 教授 (90224279)
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Research Abstract |
現在,約650億円と推定される梅関連製品の各加工業者の総出荷額のうち,和歌山県内のウメ加工業者が占める割合は,約8割に及ぶ。一方で,ウメ加工業者の企業規模は様々である。それら業者の原料調達は,(1)大規模ほど輸入原料への依存度が高く,小規模ほど国産原料に特化する傾向にある,(2)国産原料では,大規模でA級割合が高く,小規模では総じてB,C級割合が高い,(3)仕入先では,大規模ほど産地仲買人利用が多く,小規模は農家や自家農園を利用する等の特徴が確認された。 現在,ウメ加工業者においては,輸入原料はスーパーや業務需要仕向の製品,国産原料は通信販売(贈答品)や宅配仕向の製品というように用途の棲み分けが図られている。90年代以降,(1)品質向上のめざましい中国産原料梅の輸入が本格化し,国産原料を量的に上回った,(2)地元産地を補完する新興産地を国内に育成し,そこから原料調達を図ろうとするウメ加工業者の取組が本格化した等の動きを受けて,2001年10月から義務づけられた「原料原産地表示」を機に,ウメ加工業者の原料調達行動は,大きく3つのパターンに分かれることが明らかとなった。 第1の「輸入重視」型は,主たる販売チャネルをスーパー・業務関係にもつものが多く,表示義務化以降に中国現地での完成品製造(日本への製品輸入)に着手した比較的規模の大きい業者が当てはまる。第2の「国産輸入併用」型は,通信販売など利益率の高い贈答品市場に加えて,スーパー・業務関係での輸入原料使用製品の販売も大きい業界の中でも最大手層の業者などが当てはまる。第3の「国産重視」型は,地元産の紀州南高梅の原料調達を基本にしつつ,補完的に値頃感のある製品開発を目的に国内他産地での産地育成にも関与する業者が当てはまる。 現在,和歌山県内では,輸入原料あるいは国内他産地産原料の供給過剰により,加工原料市場が「買い手市場」化しつつある下で,地元原料使用でかつ値頃感のある製品製造による消費拡大が喫緊の課題となっており,行政や農協をコーディネーターとする協議会組織を通じて,生産者と加工業者との連携条件が模索されつつある。
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