Research Abstract |
昨年度は,光条件の有無と土壌厚さの違いによる窒素除去能力について実験を行った。その結果は,土壌厚さ5mmから10mmの間に窒素除去の敷居値らしきものがあることがわかった。今年度は,光条件を昨年度の連続照射から,実際の日変動に合わせた周日変動に設定し光条件の影響度を実験した。実験には,1991年より無植生に管理している常時湛水下の試験圃場から表層1cmを採土した供試土壌を用いて窒素除去実験を行った。実験条件は,夏を想定した条件を適用した。光条件は,照明付きインキュベータを利用して,明条件は,夜間(19時より5時)は0lx,朝方(5時から7時)と夕方(17時から19時)は6,000lx,昼間(7時から17時)は,25,000lxとした。暗条件は,試験体をアルミホイルで覆った。水温は,試験圃場で観測した値を元に,約20℃から40℃の周日変動を与えた。実験用いた資料濃度は,NO_3-N濃度で,10,20(暗条件も),40mg/lの濃度で行った。実験の結果,窒素除去速度では,明条件は濃度順に大きかったが,週を経るにつれその値は5週目でほぼ同じ値に落ち着いた。20mg/lの暗条件は,明条件に比較して約0.004g・m^<-2>・day^<-1>常に小さかった。10mg/lの除去速度には週による変化は見られなかった。有機物としてのTOC濃度は,暗条件は低く,10と20mg/lが高く,40mg/lは低かった。TIC濃度は,暗条件は高く,他は低かった。光条件による差異が明確に現れた。土壌の炭素量減少は,20mg/lが最も大きく,濃度では20mg/lが窒素除去に最も大きな影響があった。今年度の実験の結果から,周日変動を起こした室内実験では,試水の濃度とC/N比に強い相関関係が認められた。次年度は,窒素浄化機能を考慮した流域管理モデルへの適用方法の検討,昨年度,今年度の実験結果から明暗条件と温度条件の定量化,試験圃場への持続性適用のための予備実験と本実験を行う予定である。
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